第87回大会では11件のワークショップを実施します。
※ ワークショップ6は中止となりました。
ワークショップ 1
「マウス遺伝学による疾患研究の最前線」
9月24日(木)10:30〜12:15 D会場
- 世話人
- 荒木 喜美 (熊本大学生命資源研究支援センター)
奥村 和弘 (千葉県がんセンター研究所実験動物研究室)
近年の次世代シークエンサーによる飛躍的な遺伝子解読技術は、ヒト疾患に関連する膨大な遺伝情報を集積させている。それらの遺伝情報を基盤としたゲノム機能解析を個体レベルで行うには、マウスは優れたモデル動物であり、その重要性は益々増大している。本ワークショップでは、疾患モデル、遺伝子改変マウスを用いて独創的な研究を進める研究者に、最新の成果についてご講演をいただき、生命科学研究においてマウス遺伝学が果たす役割について議論したい。
- Danforth's short tail (Sd) 変異はトランスポゾン挿入によって引き起こされたPtf1a 遺伝子の異所性発現が原因である
- 荒木 喜美(熊本大学 生命資源研究・支援センター)
- ENUミュータジェネシスにおいて単離されたマウスモデルによる自己炎症性疾患発症機構の解析
- 阿部 幸一郎(東海大学医学部)
- 突然変異型ミトコンドリアゲノムのマウス逆遺伝学
- 中田 和人(筑波大学 生命環境系)
- CRISPR/Cas9系を用いたマウスShh遺伝子座のシス制御機構の解析
- 天野 孝紀(国立遺伝学研究所)
- マウス皮膚発がんモデルを用いたがん抵抗性/感受性遺伝子の同定
- 奥村 和弘(千葉県がんセンター研究所)
ワークショップ 2
「「生命」への多面的アプローチ ― ショウジョウバエをモデルとして」
9月24日(木)10:30〜12:15 E会場
- 世話人
- 粟崎 健 (杏林大学医学部)
上田 龍 (国立遺伝学研究所)
遺伝学的解析に優れたショウジョウバエはモデル生物として様々な研究領域で幅広く利用されている。本ワークショップでは、多様な研究分野で独創的な研究を展開する方々に、(1)それぞれの研究分野における根源的な課題と問題点、(2)課題追求におけるショウジョウバエ研究の利点と特色、(3)これまでの取り組みと今後の展望について紹介して頂く。講演を通して、これからの生命科学研究におけるショウジョウバエ研究の役割と可能性について考えたい。
- ショウジョウバエにおける雑種致死および不妊遺伝子の特定
- 澤村 京一(筑波大学 生命環境系)
- ショウジョウバエの脳の性を決める分子機構
- 伊藤 弘樹(東北大学大学院 生命科学研究科)
- 平面内細胞極性の分子機構 −細胞集団が同じ方向を向く仕組み−
- 山崎 正和(秋田大学大学院 医学系研究科)
- ショウジョウバエにおけるゲノム編集技術の展望
- 近藤 周(国立遺伝学研究所)
- Toll経路の活性化に必要な新規シグナル伝達因子Sherpaの同定と機能解析
- 倉石 貴透(慶應義塾大学医学部)
ワークショップ 3
「どこから来たのか、そしてどこへ行くのか 〜ヌクレオチド損傷をとりまく仕組み」
9月24日(木)10:30〜12:15 F会場
- 世話人
- 梅津 桂子 (福岡歯科大学)
布柴 達男 (国際基督教大学)
DNA損傷はDNA上で直接生じるだけではなく、前駆体であるヌクレオチドが酸化や脱アミノ化などの損傷を受けて取り込まれることでも生じる。RNA前駆体のリボヌクレオチドも同様の損傷を受けるが、リボヌクレオチドはエネルギーの貯蔵、細胞内シグナル伝達やタンパク質の機能調節にも関わっており、損傷の影響も多岐にわたると考えられる。本ワークショップでは、損傷ヌクレオチドの生成から生物学的影響、さらにそれらを制御するための仕組みについて総括したい。
- ヌクレオチド損傷の発生と制御の機構〜overview〜
- 梅津 桂子(福岡歯科大学 生化学分野)
- 酸化ストレスで生じる突然変異の由来は?
- 布柴 達男(国際基督教大学 教養学部)
- ヌクレオチドプールとDNAの酸化損傷に起因する突然変異
- 真木 寿治(奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス研究科)
- 変異原性ヌクレオチドはどこへ行くのか?
- 関口 睦夫(福岡歯科大学)
- ヒトDNAエンドヌクレアーゼVは、イノシンを含むRNAを切断するリボヌクレアーゼである。
- 倉岡 功(大阪大学大学院 基礎工学研究科)
ワークショップ 4
「ショウジョウバエの神経遺伝学(発生、性行動、記憶から疾患まで)」
9月25日(金)9:00〜10:45 D会場
- 世話人
- 鈴木 崇之 (東京工業大学生命理工学研究科)
近年ショウジョウバエの遺伝学は様々な遺伝学的ツールの開発によって、神経分野においても花が開こうとしている。大会の開催地である東北大学を中心に、ショウジョウバエの神経遺伝学をリードする研究室から演者をお迎えして、最新の神経遺伝学のホットトピックをご紹介したい。ショウジョウバエの比較的単純明快な神経回路を時には人工的に操作することによって、発生、性行動(オスがメスを追う思考)、記憶のメカニズムから神経変性疾患のモデルまで、鋭く切り込んでいる興味深いトピックを取り上げる。
- G4C2リピートRNAを発現する新規ALS/FTDモデルショウジョウバエの樹立
- 上山 盛夫(国立精神・神経医療研究センター)
- ショウジョウバエ雄の求愛行動を生み出す中枢神経活動のin vivo光学計測
- 古波津 創(東北大学大学院生命科学研究科)
- ドーパミン神経抑制による記憶形成
- 山方 恒宏(東北大学大学院 生命科学研究科)
- 変態期のショウジョウバエ脳におけるグリアアセンブリの再編成
- 粟崎 健(杏林大学 医学部)
- 2種のチロシン脱リン酸化酵素LarとPtp69Dの視神経の軸索投射における役割
- 羽毛田(鈴木) 聡子(東京工業大学大学院 生命理工学研究科)
ワークショップ 5
「多角的アプローチによるゲノム維持継承研究の最前線」
9月25日(金)9:00〜10:45 E会場
- 世話人
- 古郡 麻子 (奈良先端科学技術大学院大学バイオサイエンス研究科)
川上 広宣 (九州大学大学院薬学研究院分子生物薬学分野)
DNA複製・修復・組換え・接着・分配といったゲノムの安定的な維持継承機構は正常な遺伝のための要である。これまで遺伝学により多くの歴史的発見がなされ、近年は生化学や構造生物学、一分子解析などによる先駆的研究も数多い。本ワークショップは従来の遺伝学の枠におさまらない気鋭の若手研究者を迎え、自由な発想と自在な手法による創造的なゲノム維持継承研究を俯瞰する。演題を数題一般から公募し、活発な議論の場としたい。
- 出芽酵母染色体における複製起点の認識機構と制御ネットワーク解明の試み
- 川上 広宣(九州大学大学院 薬学研究院)
- 分裂酵母における複製DNAポリメラーゼの機能分担のゲノム科学的解析
- 大学 保一(東北大学 学際科学フロンティア研究所)
- マウス変異蓄積系統を利用した生殖系列の突然変異率の推定とその特徴
- 内村 有邦(大阪大学 生命機能研究科)
- Biochemical analysis reveals a novel action of bacterial Mre11/Rad50 complex
- 古郡 麻子(奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス研究科)
- PCNA によるヒトDNA ポリメラーゼηの活性促進機
- 増田 雄司(名古屋大学 環境医学研究所)
- CENP-B box is likely to confer a selective advantage on its host organism
- Suntronpong Aorarat(京都大学 霊長類研究所)
ワークショップ 7
「レトロエレメントによる哺乳類トランスクリプトーム制御」
9月25日(金)11:00〜12:45 D会場
- 世話人
- 一柳 健司 (九州大学 生体防御医学研究所)
相澤 康則 (東京工業大学 バイオ研究基盤支援総合センター)
哺乳類ゲノムのうち、エキソン領域は3%もなく、残りの領域の多くは機能未知であるが、その約半分はレトロトランスポゾンや内在性レトロウィルスに由来する配列「レトロエレメント」によって占められている。これらのレトロエレメントが遺伝子発現などのゲノム機能制御に重要な役割を果たしていることが分かりつつあるが、特に近年、細胞の全能性・多能性獲得、ガン化、遺伝子発現多様性に深く関わっていることが明らかにされており、本ワークショップではこれらの研究の最新の知見を紹介して頂きつつ、今後の方向性について議論する。
- 幹細胞やがん細胞において活性化されるLTRプロモーター
- 橋本 浩介(理化学研究所)
- 胚性幹細胞における単アレル性発現遺伝子の転写制御
- 大石 裕晃(九州大学 医学系学府)
- がん細胞におけるヒトLINE1プロモーターのエピゲノム多様性
- 石黒 光一(東京工業大学 生命理工学研究科)
- 複製依存的なクロマチン構築の消失により全能性様の性質が誘導される
- 石内 崇士(Department of Stem cells and Development, IGBMC)
- ヒストンメチル化酵素Setdb1によるレトロエレメントの抑制機構
- 加藤 雅紀(理化学研究所 眞貝細胞記憶研究室)
ワークショップ 8
「分節型ウイルスにおける遺伝子再集合による進化」
9月25日(金)11:00〜12:45 E会場
- 世話人
- 小林 由紀 (日本大学生物資源科学部獣医学科)
鈴木 善幸 (名古屋市立大学システム自然科学研究科)
ウイルスの大部分は単一のDNAあるいはRNA分子をゲノムとしてもつが、オルソミクソウイルスやレオウイルスなどのゲノムは分節型であり、進化の過程でゲノム分節を単位とした組換え(遺伝子再集合)によりパンデミックを引き起こすことがある。遺伝子再集合はランダムでなく、ゲノム分節間には宿主因子をもまきこんだ核酸レベル・蛋白質レベルでの適合性決定因子が存在すると考えられるが、その実体は不明である。本ワークショップでは、分節型ウイルスにおける遺伝子再集合のパターンやパッケージングシグナルなどについての最先端の研究成果をご講演いただき、その進化機構にせまる。
- A型インフルエンザウイルスセグメントに予測される高度保存RNA二次構造はパッケージングに寄与するのか?
- 小林 由紀(日本大学生物資源科学部)
- A型インフルエンザウイルスのゲノム構築とパッケージング
- 五藤 秀男(和歌山県立医科大学 医学部)
- ロタウイルス構造タンパク質の分子間インタラクションが規定するゲノムリアソートメント
- 片山 和彦(国立感染症研究所ウイルス第二部第一室)
- クライオ電子顕微鏡単粒子解析による8.5A分解能ヒトサポウイルスキャプシド構造とホモロジーモデリング
- 村田 和義(生理学研究所)
- ロタウイルスのパッケージングシグナル
- 鈴木 善幸(名古屋市立大学大学院システム自然科学研究科)
ワークショップ 9
「ゲノムの進化と多様性研究の最前線」
9月25日(金)11:00〜12:45 F会場
- 世話人
- 佐藤 行人 (東北大学 東北メディカル・メガバンク機構)
山口 由美 (東北大学 東北メディカル・メガバンク機構)
全ゲノムの塩基配列決定と大量情報解析の時代となり、膨大なデータが得られるようになった。データを妥当に解釈していくには、適切なデータ品質管理と共に、ゲノムの進化の過程および多様性の実態についての理解が大切である。本ワークショップでは、1)ゲノムの進化過程、および、2)ヒトゲノム多型の実態と疾患との関係、の立場から最新の研究の知見を紹介して頂く。そして、個人ゲノム時代での有用な遺伝情報活用について討論したい。
- ヒト脳と類人猿脳における時空間的比較トランスクリプトーム解析
- 辰本 将司(自然科学研究機構 新分野創成センター)
- 全ゲノム重複後に維持された重複遺伝子の進化と疾患との関係
- 牧野 能士(東北大学大学院 生命科学研究科)
- ゲノム重複と脊椎動物進化: 比較ゲノムから見えてきた迅速なゲノム再編とブロック・ロス・モデルの提起
- 佐藤 行人(東北大学 東北メディカル・メガバンク機構)
- ヒトの微細な集団構造〜ゲノム人類学の立場から
- 太田 博樹(北里大学 医学部 解剖学研究室)
- ヒト表現型予測と疾患研究のための生命情報学
- 今西 規(東海大学医学部基礎医学系分子生命科学)
ワークショップ 10
「エピジェネティクスと進化学の結びつきを再考する」
9月25日(金)14:00〜15:45 D会場
- 世話人
- 吉田 恒太 (国立遺伝学研究所生態遺伝学研究室)
吉田 貴徳 (京都産業大学総合生命科学部)
エピジェネティクスと進化学との強い関係が言われて十年以上たつが、未だ進化学にエピジェネティクスが十分に取り入れられているとはいえない。逆に、エピジェネティクスの進化学なくして、その機構の一般性を議論することは難しい。この十数年間のエピジェネティクス研究の進展をもとに、その可能性、課題を再考する必要がある。本ワークショップでは、エピジェネティクスと進化学の架け橋となる研究をされている演者を集め、その最新の知見をお話いただくとともに、その具体的手法や可能性について議論していきたい。
- DNAメチル化と塩基配列の共進化
- 宅野 将平(総合研究大学院大学)
- アブラナ科の雑種強勢の分子機構の解明を目指した後成遺伝学的なアプローチ
- 藤本 龍(神戸大学大学院 農学研究科)
- シロイヌナズナの世代を越えたDNAメチル化動態において働くゲノム規模での負のフィードバック
- 伊藤 佑(国立遺伝学研究所 総合遺伝研究系)
- ゲノム比較から探る哺乳類ゲノム刷り込みの起源と進化
- 鈴木 俊介(信州大学農学部 近未来農林総合科学教育研究センター)
- 霊長類の生殖細胞エピゲノムの進化とゲノム進化の相互作用
- 福田 渓(理化学研究所 眞貝細胞記憶研究室)
ワークショップ 11
「細胞遺伝学の新たなる地平と染色体研究の今」
9月25日(金)14:00〜15:45 E会場
- 世話人
- 松永 幸大 (東京理科大学理工学部)
河野 重行 (東京大学大学院新領域創成科学研究科)
分子生物学や生化学の発展と共に、細胞遺伝学が新たに脚光を浴びてきた。日本の細胞遺伝学の最先端分野で活躍する5名に講演を頂く。植物分野から3名、動物分野から2名の染色体研究者の講演を行い、動植物学の両分野から細胞遺伝学研究の今後の展開を議論する。また、日本の細胞遺伝学の伝統を振り返る意味を込めて、創刊後86年を迎えた国際細胞遺伝学雑誌CYTOLOGIAの歴史を紹介する。本ワークショップは日本メンデル協会の共催で開催する。
- Analysis of epigenetic marks on plant chromosomes -from micro to macro
- 長岐 清孝(岡山大学 資源植物科学研究所)
- Good job, FISH! The time has come for chromatin-visualization with genome editing.
- 松永 幸大(東京理科大学理工学部応用生物科学科)
- 巡回セールスマン問題を用いた植物型巨大Y染色体のマッピング
- 風間 裕介(理化学研究所 生物照射チーム)
- 哺乳類Y染色体の消失過程の推定
- 黒岩 麻里(北海道大学 大学院理学研究院 生物科学部門)
- 魚類の多様な性染色体ーメダカ類を中心にー
- 明正大純(新潟大学 理学部)
- 1929年創刊CYTOLOGIAの細胞遺伝学に果たした役割と今
- 河野 重行(東京大学 大学院新領域創成科学研究科)
ワークショップ 12
「ゲノムとOMICSの比較から現れた遺伝と進化をめぐる驚き」
9月25日(金)14:00〜15:45 F会場
- 世話人
- 小林 一三 (東京大学 新領域)
岡田 典弘 (国際科学振興財団)
ゲノム関連のイノベーションによって、多数の全ゲノム配列、大量のOMICSデータが蓄積している。それらを詳細に比較することから、予想もしなかった遺伝と進化の実像が明らかになりつつある。本ワークショップでは、様々な分野から最近の興味深い例について紹介する。(なお、講演者のうち3名(I.K., H.Y., R.T.)は、科研費新学術「ゲノム遺伝子相関」領域(-2015)のメンバーである。)
- リボソームRNAと翻訳開始機構の変貌
- 小林 一三(東京大学・新領域メディカル情報生命専攻)
- リボソームRNA遺伝子の染色体外への移行
- 按田 瑞恵(東北大学大学院 生命科学研究科)
- メチローム変換に基づく進化
- 矢野 大和(東京大学 新領域創成科学研究科)
- イネーいもち病菌相互作用の分子機構と共進化
- 寺内 良平(公益財団法人岩手生物工学研究センター)
- シクリッドの唇肥大化に関わる平行進化メカニズム
- 二階堂 雅人(東京工業大学大学院生命理工学研究科)
- 日本人全ゲノムレファレンスパネルの構築と今後
- 長崎 正朗(東北大学 東北メディカル・メガバンク機構)