大会概要

学術大会とワークショップ

参加者の方へ

ワークショップ

本大会ではワークショップを企画しております。事前参加登録のシステムで、ご希望のワークショップを第3希望まで選択いただきます。事前申込み状況により、受付を締め切るコースが出てくる場合がございますので、ご注意ください。

なお、事前申込み締切り後は、当日の受付のみとなります。第1希望を受講できない場合もございますのでご了承ください。

※当ワークショップに参加することで、(財)日本臨床心理士資格認定協会の臨床心理士有資格者の資格更新のための研修ポイントを2ポイント取得できます。

↓↓ お申し込みはこちらから ↓↓

申込締切日: 2015年6月15日(月)6月19日(金) 18:00まで
受付は終了しました。

ワークショップのご案内

日時
7月18日(土) 13:00~18:00
会場
第1会場(大通公園メンタルクリニック)・第2会場(かでる2・7)
会場案内図

①CRCT;条件反射制御法

第1会場(大通公園メンタルクリニック) 定員30名

平井愼二(下総精神医療センター)・長谷川直実(ほっとステーション)

CRCTは、2006年に平井が開発し、当初は主として薬物乱用者に対して実施されてきました。現在では、物質使用障害だけでなく、盗癖、病的賭博、性嗜好障害、自傷行為、強迫行為、抜毛癖、反応性抑うつ、PTSDなどの繰り返してしまう症状・問題に対して実施されています。

本ワークショップでは、まずCRCTを実施するにあたっての基礎理論について学び、次に基礎ステージを理解します。覚醒剤、アルコール乱用などの物質使用障害では、この基本ステージを実施します。

その後、物質使用障害以外の問題への適用について、治療ステージの組み立て方をお伝えします。

CRCTを開始するときのキーワード・アクションの設定については、デモンストレーション及び演習を行い、ワークショップに参加した後に、皆さんがそれぞれの現場ですぐにCRCTをスタートできるように指導します。

後半には、皆さんが困っている事例について、CRCTをどのように開始して、どのように治療ステージを組み立て、他のどんな技法、支援と併用できるかについて一緒に検討する時間を持ちます。

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②協働的面談の構築~クライアントの気づきを促すやる気を引き出す面談スタイル~

第2会場(かでる2・7) 定員50名

北田雅子(札幌学院大学)

動機づけ面接法(MI)は,アルコール依存症の治療を専門とする行動療法家であるミラー博士とロルニック博士によって構築された面談スタイルで,来談者中心で目標指向的な面談スタイルと説明されます。この面談スタイルは,アルコール問題を抱える来談者への面接技法を研究するプロセスにおいて,治療成績の良かった治療者の面談スタイルを実証的に解析することから体系化されたものです。MIは,実証研究に基づき数多くのデータに裏付けられ,根拠に基づいた面談スタイルとして,依存症の治療のみならず,健康,医療,司法,教育などのあらゆる現場において幅広く活用されています。今回のワークショップでは,動機づけ面接法の魅力や他の面談との違い,特徴等を多くの演習を通して体験して頂くことが目的です。

第一部では,面談場面でおきているコミュニーションエラーの背景について「両価性」をキーワードに整理します。行動変容へ向かうのが困難な背景を理解した上で,第二部では,クライアントや来談者の気づきを促しやる気を引き出す面談スタイル,ガイディングスタイルの面談について体験して頂きます。最後の第三部では,面談スタイルの根底にある精神を踏まえた上で,協働的な面談を構築するための基本スキルについても演習をしていきます。

このワークショップに参加することで,臨床においてすぐに活用できるMIのエッセンスに触れることができると思います。

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③神経質者、集まれ!!―外来の森田療法を‘お題目’で行わないために―

第1会場(大通公園メンタルクリニック) 定員20名

岩木久満子(顕メンタルクリニック)・杉岡品子(北翔大学)

森田療法、と聞くと皆さんはどのようなイメージを持つでしょうか?「そんな治療、聞いたことない」「どこかの宗教?」と思う方もいるでしょうし、少し知っている方であれば、「神経症の治療法でしょ。」「あるがまま療法?」と思うかもしれません。現在行われている森田療法の指導法は、「不安は向上心と表裏一体の関係。不安を持ちながらもやりたい行動ややるべき行動をするうちに、不安は自然に流れて消えていき、生活・人生が充実してくる」という内容になります。しかし、この指導法を読んで、皆さんはすぐに納得できるでしょうか?「不安は向上心と表裏一体って…ちょっと無理矢理こじつけてない?」などとアヤシく思いませんか?「不安のまま行動するって、行動療法とどう違うの?」という疑問が湧いてきませんか?「もしも向上心がなかったらどうするの?人生みな充実しなきゃいけないの?なんかキモチ悪くない?」なんて考える人もいるかもしれません。事実、この指導法をそのまま患者さんに繰り返し伝えることが森田療法だと思っている治療者もいるし、この指導法を唱えながらやるべき行動をして不安を紛らわす患者さんもいます。そうすると、この指導法が、何か…‘お題目’のような、アヤシイ宗教に見えてきませんか?もちろん、この指導法はどの森田療法の本を見ても書いてありますし、正しい指導法です。しかし、これは以上に述べたような‘お題目’状態になる危険性を孕んでいる指導法なのです。

森田療法を‘お題目’状態にならずに行うためには、森田正馬の言う「神経質」をよく理解することが重要です。‘お題目’だけでは、ともすると行動の指導に目が行きがちですが、本来の森田療法は、行動だけでなく、もっと広く「神経質」を生かす、もっと言えば「神経質になりきる」ことで根治し、さらに人としての成熟を目指す治療法なのです。

今回のワークショップでは、森田正馬のいう「神経質」を、5時間で理解していただきます。この「神経質」を理解したときに、先に述べた‘お題目’の指導法が、もう少し違ったニュアンスで皆さんの心に響くのではないかと思っています。特に「神経質」度が高い方であればあるほど、素晴らしい治療者になれること請け合いです。精神科や心療内科、カウンセリングルームの治療者が、患者さんの「神経質」を理解して治療に役立てるだけでなく、身体科の医師や会社の産業医、保健師、看護師、助産師、学校の教師など様々な職種で森田療法の指導法を生かせるので、大変に便利であります。自分自身のセルフケアにも役立ちます。理解の良い患者さんに当たったら、森田正馬と同様に一回の外来でうっかり治しちゃうかもしれません。さあ、我こそは神経質なりと思う方、集まれ~!!

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④うつの回復におけるブリーフの実践~産業領域での支援経験をもとに

第1会場(大通公園メンタルクリニック) 定員20名

廣瀬雄一・小林美穂子(大通公園リワークオフィス)

本ワークショップを担当する小林と廣瀬は、うつ病を主とする休職者および離職者を対象とする復職デイケア「リワーク」で臨床心理士として勤務しております。職場復帰に向けて心身を慣らす機会を提供することで、自宅療養から職場復帰という急激な環境変化に対応する手助けをするとともに、個人面談やプログラムでの心理教育などを通じて、うつを再発せずに働き続けられるよう支援しています。

ワークショップ当日は、実際の事例を通して当リワークでのうつの回復支援および復職支援のノウハウを紹介すると同時に、産業領域に関心を持つ皆さんに広く役立てていただける、明日からでもすぐに使える様々な方法を実際に体験し、知っていただこうと考えております。具体的にはまず、当リワークで経験した事例から、うつの回復を促すための日々の働きかけや面談の実際(森田療法的アプローチをベースとしています)、あるいは受け入れる職場側の環境調整や配慮を求める橋渡し役としてのスタッフの働きなどについて紹介・解説いたします。

さらに実際に行っているプログラムを紹介します。再発予防を目的とした心理教育「Do Be Tone(ドゥービトン)」(自分の感情とよりうまく付き合っていくためのスキル、快眠力、快食力、快運動力アップのヒントなど)や、一見遊びのようで実はアセスメントや利用者自身の仕事への取り組み方への気づきも促すと評判の(?)「ルービック脳トレ」などのプログラムを、本ワークショップで実際に体験いただけます。

また、当リワークで特に力を入れている再発予防への取り組みや復職後のアフターフォローについても詳しく取り上げます。復職後の“卒業生”をサポートするため月に2~3回行っている「サタデーリワーク」での実践や、最近日本でも特に注目を集めている対人関係療法の技法を活用した復職後の職場内の人間関係に働きかける支援を紹介します。

うつの治療や、復職支援デイケア「リワーク」および産業領域の心理的支援に関心がある方はもちろん、広い意味での(例えば支援者自身のセルフケアも含めた)「働く人たちの心身の健康」に関心がある方々にぜひご参加いただき、意見交流も図りながら共に学べる時間としたいと考えております。たくさんの方々の参加をお待ちしております。

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⑤ポスト・ソリューションからオープン・ダイアログへ
~対話的(ダイアロジカル)な支援者になるために~
Becoming Dialogical:Psychotherapy or a way of Life?

第1会場(大通公園メンタルクリニック) 定員20名

定員に達しましたので受付は締め切りました。

白木孝二(Nagoya Connect & Share)・長沼葉月(首都大学東京)

近年にわかに、特に精神保健福祉領域において関心が高まっている、フィンランド発祥のオープン・ダイアログ。急性期精神科医療システムとして、入院や投薬をできるだけ避け、治療チームが家庭や生活の現場に赴き、ネットワークの対話によって危機を乗り越える、ユニークなアプローチとして紹介されています。またミーティングで本人、家族を含め関係者でオープンに対話を続ける(だけで)、専門的な治療法、技術を用いなくても劇的な効果が得られる、と期待されてもいるようです。

私たちがこのワークショップで皆さんに紹介し、体験していただきたいのは、オープン・ダイアログのシステム、運営法に関することではなく、その実践を支える理念、臨床哲学、支援者としての姿勢・態度という側面についてです。

彼らの支援者としてのスタイルは、トム・アンデルセンのリフレクティング・プロセスやハーレーン・アンダーソンたちのコラボレイティヴ・アプローチとの共通点・影響が非常に大きいとされています。ただ実際には、ヤーコ・セイクラを中心とするオープン・ダイアログの実践も両者に大いなる刺激を与え、緊密な交流に繋がっていることから、それぞれが「対話的姿勢」という共通基盤を持っていると考えた方がいいのかもしれません。

セイクラが言うように「対話的である・になる」ということは、対話をセラピーや支援法として見るのではなく、生身の個人としての生き方、関わりの基本姿勢としてとらえる必要があります。「他者のユニークな他者性」を尊重し、他者との交流の可能性、必然の形として「開かれた対話」を理解し、「ダイアロジカルな支援者である・になる」ことが重要なのだと思います。

「モノローグ(独白)」に閉じず、「ダイアログ(対話)」に開かれているためには、個人である支援者としてどんなことが必要なのか?

それぞれの現場、文脈、立場で、ダイアロジカルな支援者でありつづけるためには、どのような発想・視点が必要なのか?

こういった問いにどれほどの答えを提示できるかはわかりません。まずは、オープンな対話が多様に、多角的に展開されること。そして参加者みなさんが、それぞれに何かの「開かれた感覚」をお持ち帰りいただけるよう期待して、ワークショップに臨みたいと思います。

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⑥エリクソニアン・マインドフルネス

第2会場(かでる2・7) 定員50名

津川秀夫(吉備国際大学)

エリクソニアン・アプローチには、問題・症状をある種のトランス現象として捉えて介入するという視座があります。その視座を基礎にして、問題・症状というバッドトランスから覚醒させ「今ここ」に方向づける試みを、エリクソニアン・マインドフルネスとして検討してきました。「今ここ」への注意ですから便宜的に「マインドフルネス」と呼んでいますが、初期仏教やCBTとの関係はありません。

エリクソニアン・マインドフルネスは、感情や記憶などの問題への介入法として開発されたものです。特に、強迫、パニック、フラッシュバックなどのように、一般に「厄介」とされるものに対して、安全かつシンプルに関わっていくことができます。

このWSでは、(1)見立て、(2)心理教育、(3)「今ここ」への方向づけ、(4)日常生活への拡大、というエリクソニアン・マインドフルネスの一連の手続きについて、ワークを通してお伝えします。不安やトラウマへのシンプルな関わり方を学びたい方、エリクソン好きな方、SFBTの実践者、マインドフルネスに関心のある方などのご参加をお待ちしています。

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⑦ブリーフセラピー入門
-もう一度、そして新しくブリーフセラピーを学びたい人のために-

第2会場(かでる2・7) 定員50名

長谷川明弘(東洋英和女学院大学)・石丸雅貴(金沢工業大学)

ブリーフセラピーは、エリクソン(Erickson,M.H.)による催眠・心理療法の臨床実践とサイバネティックスの理論を精神医学に導入したベイトソン(Bateson,G.)の認識論を心理療法モデルの中核に位置づけながら、問題や課題の解決のためにセラピストとクライエントの協働によって一人一人にあった効果的な面接を工夫することを通して、クライエントの意味づけと行為の連鎖の中に小さな変化をもたらそうとする心理療法です。

システミックな相互作用論(個人内、対人間、家族、組織、地域)に立脚しているため、必ずしも当事者が来る必要はありません。また年齢層は限定しない上に、病理水準よりもむしろ人が有している肯定的な側面に注目して、過去や現在よりむしろ未来志向なのが大きな特徴です。つまり幅広い対象に適応できます。

ブリーフセラピーを実践する専門家は、人を理解することはもちろんですが、人がどう変わるのかに関心があり、日常生活におけるクライエントの体験の変化を目指します。

研修では、定義、基本的な考え方、主要なアプローチの解説を行った後、面接過程を体験的に学習することを行います。本研修では、技法に注目されがちなブリーフセラピーが、クライエントとセラピストの関係性に着目しながら進行していく過程をエクササイズを通して学び、クライエントに応じて、セラピストが柔軟に介入を行っていることを理解してもらいたいです。

講師は、主に医療・福祉、教育、産業領域でブリーフセラピーを適用してきました。それらの経験を取り入れながら、実践に活かせる研修を進めていきます。

参考文献:宮田敬一(編) (1994) ブリーフセラピー入門 金剛出版
ケイド,B. オハンロン,W.H.(1993) ブリーフセラピーへの招待 亀田ブックサービス

臨床心理学の扉を開く http://www.hasegawa-akihiro.com/
講師の一人、長谷川明弘の開設WEB

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⑧学校で活かす解決志向アプローチ~生徒どう?!(静と動):成功事例から学ぶ~

第2会場(かでる2・7) 定員50名

黒沢幸子(目白大学)

解決志向アプローチでは、有用な技法を用いた実践(“動”)が注目されがちですが、実は発想の前提(“静”)がなければ機能しません。その前提とは、①「変化」について:変化は絶えず起こっていて必然である、小さな変化が大きな変化につながる、②「解決」について:解決の姿を知る方が問題や原因を把握するより有用である、③「リソース」について:人は誰もがリソースを持っており、自分の人生の解決の専門家である、というものです。

解決志向アプローチは、学校場面で、問題に焦点をあて問題対策に力を注ぐのではなく、「リソース」「ユーティライゼーション(利用)」「未来志向」をキーワードとする(そこに既にある強みや資源を利用して、なりたい未来を創っていく)実践をもたらします。児童生徒たちと先生がお互いの力を活かし合い協働して、なりたい学級や子どもたちの姿を実現させていくことを可能にします。英国で開発された「サポートグループ・アプローチ」や米国の「WOWW(教室でうまくいっていることに取り組む)」は、大きな効果が認められている具体的なプログラムです。日本でも、教室づくりやいじめ・不登校への対応に解決志向が用いられ、よい成果を上げている素敵な実践が多くあります。

この研修では、解決志向を活かした学校実践やプログラムを紹介し、ワークを交えてそのエッセンスを手にしていただきます。そして参加者の皆様のなかにある素敵な実践も必ず見つかる宝探しの研修にもなることでしょう。教師・養護教諭・スクールカウンセラー等々の皆様(もちろん学校関係者でない方も歓迎です)とご一緒に、明日また学校に行くのが楽しみになる宝探しの旅に出かけましょう。

解決志向アプローチの学校実践で、「生徒どう?!」(「“静”と“動”」の妙が見いだされますように)。

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⑨成人当事者の語りから自閉症スペクトラム障害児者への支援を考える

第2会場(かでる2・7) 定員45名

齊藤真善(北海道教育大学札幌校)

前半では、ある成人当事者との対話を通して、互いの自己理解(同時に他者理解でもありますが)が深まった過程を解説したいと思います。

彼にとって新たな発見があったように、私にもそれと同じだけの発見があったことは、大変有意義なことでした。この対話によって、我々は、互いに優劣の問題があるのではなく、周囲の世界に対する解釈の違い、思考スタイルの違いがあるという事実があるだけのことに気づかされました。彼が私の心を推察することが難しいように、私もまた彼の心の推察が難しかったことは、このことを十分に示しています。

今回は、長い議論の中から、ほんの少ししか紹介できませんが、彼の客観的な内省が、皆さんの自閉症スペクトラム障害に対する肯定的な理解のきっかけになることを期待します。

後半は、幼児期の発達過程について触れたいと思います。鑑別の視点とその意味、療育の目的について、ビデオの映像をもとにしながら、解説したいと思います。発達初期において、自閉症スペクトラム障害児と定型発達児は行動的にどこが違うのか?行動の違いの背景にある心理機制とはどんなものなのかについて考察します。

途中、演習を行います。自閉症スペクトラム障害児とセラピストの遊び場面を見ながら、行動観察のポイント、セラピストの関わりの意味についてグループワークを通して理解を深めていきます。

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