ご挨拶

第21回日本野生動物医学会大会にあたって

このたび第21回日本野生動物医学会を酪農学園大学にて開催する運びとなりました。ここ酪農学園大学のキャンパスはその8割が国有林で鳥獣保護区でもある道立野自然公園野幌森林公園に抱かれ、広大なキャンパスにはのどかな牧場の風景が広がり、最先端の設備を誇る伴侶動物・生産動物の付属動物病院があります。まさに我々獣医師が関わるすべてのフィールドがここにはあります。

ヒトは環境を造り替ることで生息圏を広げ、自然環境を変質させ破壊し野生生物の未来を奪い続けています。我々の科学、技術が進歩し知見が増えるほど野生生物の絶滅のスピードは加速しているのが現代です。ヒトは他の生き物と共存できない道を歩み続けています。でもヒトも生き物です。他の生き物と共存できない生き物ヒトだけが生き残る未来はないでしょう。医学もヒトの生命観・価値観から生まれたものですから、野生動物医学もヒトの側からのヒトのための探求、進歩であってはいけないでしょう。命は大切、ですが域外保全の中での命、域内保全の中での命、全く異質な大切さがあります。さまざまな視点からの野生動物医学の発展が望まれます。

地球上のあらゆる生き物が野生動物医学の対象になります。我々の医学が地球全体の命を健全な状態に保つ重要な役割を担っていく自覚と覚悟をもち、発展することを祈念します。

本大会での活発な議論や意見交換、さらには新たなネットワークが生まれることを期待し、本大会が野生動物医学の発展に寄与できること、たくさんの命に還元されることを願っています。

最後になりましたが、本大会を開催するにあたりご尽力いただいたすべての方に心より感謝いたします。

2015年6月吉日
第21回日本野生動物医学会 江別大会
大会長
旭山動物園園長 坂東 元

大会事務局より

2015年夏、北海道の酪農学園大学で、つくば大会に引き続き、第21回目となる日本野生動物医学会の学術集会が開催されます(酪農大の所在する市名から江別大会)。まず、本大会の方向性の一つに園館獣医療向上を掲げ、そのために大会長を本学OBでもある坂東園長にお願いをしました。活発な論議を期待したいと思います。

次いで、会期についてご説明します。この会期直前、札幌市にて開催される国際野生動物管理学会に連続させるため、このような期日が設定されました。本学を含め前期期末の試験期間中であり、特に、学生さん達にとって最悪です。ですが、これにへこたれず、奮って、ご参加下さい。

これまでの大会と異なる点を列挙します。まず、一般演題はすべて口頭発表とします。また、座長は、前演者が行う生態学会や衛生動物学会などの方式を取り入れます。参加や演題の申し込み、参加費の払い込み方法などの詳細はこのHPなどでお知らせしたいと思います。懇親会は、これまで学生部会の諸君が主催していたもの(学生懇親会)と、通常の大会事務局主催のものがありました。江別大会では一本化しようと思います。これにより、分散せずより濃密な討論が期待されるからで、現在、学生部会の諸君と協議中です。なお、酪農学園大学構内での飲酒・喫煙は禁止されております。しかし、近所に大きなお店はありません(大きな森はありますが)。

大会事務局としては、懇親会会場までの足(行きのみ。お帰りは自助努力で)を用意する予定です。大学周辺に宿泊施設はありません。しかし、繰り返しますが、大きな森があり、野幌森林公園キャンプ場があります。第20回大会の大沼大会長が、彼の学生時代、このキャンプ場から通学していたように、会場から比較的近接ですので、ご利用されても良いでしょう。最寄りのJR駅は大麻(おおあさ、と読みます)駅で、メインとなる会場からは徒歩で20分ほどです。いくつかのバスはJR新さっぽろ駅に行くものもあり、その周辺にはホテルがあります。が、あまり安くはないです。

本学(浅川)が大会事務局を行うのは2度目です。1998年、第4回大会では上記ハンデイから、会場は北海道大学で行いました。その当時と、条件はまったく同じで、会場を本学にするのは少々勇気が必要でしたが、この機会に自然豊富な環境も楽しんで下さればと思います。