第32年会では、以下6件の「学術シンポジウム」を予定しております。
学術シンポジウム 1 Symposium 1
「ワクチン・免疫療法における創剤開発」
- オーガナイザー
- 宇都口 直樹(昭和薬科大学)
免疫を利用した医薬品は感染症における「ワクチン」として古くから実用化されているが、近年では、がんや関節リウマチなどの疾患への治療薬も上市されている。モノクローナル抗体医薬品、子宮頸がんワクチンの実用化や、さらにはナノテクノロジーを駆使したワクチンキャリアーの開発など、ワクチン・免疫療法の推進に寄与する基盤技術の進展も目覚しい。しかし、これらワクチン・免疫医薬品を「製剤」として捉えた創剤開発研究は未知な部分が多く残されている。そこでワクチン・免疫療法の開発に対する有効性ならびに安全性を向上させるために薬剤学領域で培われたDDS技術が果たせる役割について考えたい。また産官の方からは、実際の創剤開発の問題点について討論していく。
- 「固形がんに対するCAR-T細胞療法の開発」
岡田 直貴 (大阪大学大学院薬学研究科) - 「油状可溶化型のS/Oナノ粒子を用いた経皮ワクチンの開発」
後藤 雅宏 (九州大学大学院工学研究院・次世代経皮吸収センター) - 「次世代型イノベーティブワクチン開発への挑戦」
菊池 正彦 (第一三共(株)) - 「ワクチン開発に関する規制について」
三ツ木元章 ((独)医薬品医療機器総合機構)
学術シンポジウム 2 Symposium 2
「世界に先駆ける再生医療を目指して」
- オーガナイザー
- 柳井 薫雄(武田薬品工業(株))
- 水野 江弘(大日本住友製薬(株))
根本的治療法が未だ見出せない疾患治療や生体組織の機能再生を実現することによって、患者に多大なる福音を提供し得る再生医療等の研究開発がまさに活発に進められている。 2014年11月の改正薬事法と再生医療等安全性確保法の施行後の2015年9月には2つの再生医療等製品が承認された。 今後さらに再生医療等が日本をはじめ世界で、さらに実用化が進展し汎用的医療として展開していくためには、規制制度や医療・産業技術の革新、人材育成が益々重要な鍵となる。 本シンポジウムでは、再生医療等の領域において官学産の最先端でご活躍の先生方をお招きし、日本から世界に先駆ける革新的再生医療等を目指す現状と将来の課題を認識するとともに、製剤研究者の貢献への期待について議論を行いたい。
- 「わが国の再生医療等製品(細胞加工製品)の実用化のための規制」
佐藤 陽治 (国立医薬品食品衛生研究所) - 「iPS細胞を用いた糖尿病に対する再生医療の開発に向けて」
長船 健二 (京都大学 iPS細胞研究所) - 「再生医療の産業化における課題」
山田 哲正 (ロート製薬(株))
学術シンポジウム 3 Symposium 3
「Gastrointestinal simulators:医薬品開発におけるベストプラクティス」
- オーガナイザー
- 尾上 誠良(静岡県立大学薬学部)
- 上林 敦(アステラス製薬(株))
新薬開発の成功確率が低下の一途をたどる昨今、創薬・創剤開発における様々な観点での高効率化が急務の課題となっており、そのなかで医薬品の生物薬剤学的特性評価についても生体環境を熟考したシミュレーションが積極的に活用されている。すなわち、被験物質の膜透過性、溶解性、消化管腔内及び粘膜中での安定性、そして消化管内での移動特性をはじめとする各種パラメーターを正確に把握し、それらを反映した適切な創薬展開ならびに投与形態開発が強く望まれているのである。本シンポジウムでは Gastrointestinal simulators に関する種々のベストプラクティス共有を指向し、新進気鋭の企業研究者とアカデミアによって種々のケーススタディを概説する。
- 「A decision tree for in vitro release testing during product development」
Jennifer Dressman(Johann Wolfgang Goethe University) - 「消化管吸収制御における GIS の重要性 -アカデミアからのアプローチ-」
佐藤 秀行 (静岡県立大学薬学部) - 「製剤開発における経口吸収予測研究のベストプラクティス」
上林 敦 (アステラス製薬(株)) - 「In Vivo Predictive Dissolutionを用いた生物学的同等性予測」
竹内 達 (沢井製薬(株)) - 「薬物動態研究における経口吸収性予測の現状」
中村 晃一 (第一三共(株))
学術シンポジウム 4 Symposium 4
「標的性を付与した先駆的医薬品の開発と評価」
- オーガナイザー
- 加藤くみ子(国立医薬品食品衛生研究所)
- 楠原 洋之(東京大学大学院薬学系研究科)
ターゲット分子への選択性、親和性を高めた有効成分として、高分子化合物や中分子化合物等の開発が活発化している。さらに、先端技術を駆使した薬物キャリアの標的性付与にこれらの化合物を利用した製剤技術も進展している。このような標的性を付与した先駆的医薬品の開発には、ターゲット分子の局在、化合物の物性(高次構造を含む)、体内動態等を考慮に入れた製剤開発、評価が重要となる。本シンポジウムでは、標的性を付与した先駆的医薬品の特性や開発動向、評価法について産官学の専門家よりご講演いただく。
- 「標的性を指向したDDS製剤の評価」
加藤くみ子 (国立医薬品食品衛生研究所) - 「創薬・DDS評価におけるPETイメージングの活用」
向井 英史 ((国研)理化学研究所) - 「受動拡散で膜を透過する環状ペプチドと創薬への応用」
古川 詔大 (第一三共(株)モダリティ研究所) - 「特殊ペプチド創薬イノベーション」
菅 裕明 (東京大学大学院理学系研究科)
学術シンポジウム 5 Symposium 5
「経皮吸収技術の過去・現在・未来」
- オーガナイザー
- 徳留 嘉寛(城西大学薬学部)
皮膚を適用部位とするいわゆる経皮吸収型製剤は,患者のQOLを改善する上で極めて有用であり,近年では局所のみならず全身をターゲットとする化合物にもその対象は広がっています。これを機に一度経皮吸収技術のまとめをしたいと考えました。そこで、本シンポジウムでは、著名な四名の先生方にご登壇いただき,経皮吸収技術の歴史,現状および新規技術、さらには将来の経皮吸収に関してご講演を頂く予定です。全先生の御講演後に総合討論を設けることで,学会員の皆様の考える問題点を全員で考えたいと思っています。
- 「経皮吸収型製剤のこれまでの歩み」
藤井 まき子 (日本大学薬学部) - 「各種経皮吸収促進法の特長と課題」
間 和之助 (久光製薬(株)) - 「皮内投与デバイスの開発と応用」
小岩井一倫 (テルモ(株)) - 「将来の経皮吸収型製剤」
杉林 堅次 (城西大学薬学部)
学術シンポジウム 6 Symposium 6
「院内製剤から臨床製剤への進化」―効果的な薬物治療を実践するために―
- オーガナイザー
- 花輪 剛久(東京理科大学薬学部)
- 渡辺 善照(東北医科薬科大学薬学部)
本シンポジウムは薬剤学会「臨床製剤FG(以下、FG)」執行部メンバーにより企画立案されている。 これまでFGは「医療現場のニーズに臨床製剤、サイエンティストとしての薬剤師はどのように関わっているのか?」という問いについて、日本医療薬学会、日本緩和医療薬学会などの会員とともに討論を重ねてきたが、「臨床製剤」に関するコンセプトは臨床製剤を調製する者の経緯、立場により当然、異なると考えられる。そこで、本シンポジウムでは、「大学から医療機関へ環境・立場が変わった方」、「教育の現場にいる方」、「医療現場から大学へ環境・立場が変わった方」、「医療の現場」もしくは、「在宅医療の現場」にて様々な環境・立場にあるシンポジストをお招きし、講演と総合討論から従来の臨床製剤が抱える課題を明らかにするとともに、「医療機関に限定されてきた院内製剤を在宅医療までもカバーする臨床製剤へ進化させることの意義・重要性」について討論したい。
- 「院内製剤から新たな臨床製剤開発に向けて−現状と課題−」
渡辺 善照 (東北医科薬科大学薬学部) - 「臨床製剤の新たな発信は大学から」
米持 悦生 (星薬科大学薬学部) - 「学生実習から感じる院内製剤と臨床応用」
井上 裕 (城西大学薬学部) - 「本邦における院内製剤のエビデンスに関する実態調査」
百 賢二 (帝京平成大学医薬品安全性評価学ユニット) - 「在宅終末期医療の現場から製剤に期待すること」
奈良 健 ((株)サン薬局在宅薬物治療支援部)