大会長あいさつ

医療ソーシャルワークの枠組みを再考する

大会長 関 建久(社会医療法人明生会 介護老人保健施設あるかさる )

 ソーシャルワークは極めて実践優位でかつ対象は人と環境です。ゆえにその様相は時代とともに変化してきました。社会構造の変化、戦争や大恐慌など社会的エピソードがあった時代は、ソーシャルワークの枠組みも大きく変容します。
 地域包括ケア構想に関する議論が広く着々と進んでいます。従来、生活モデルを実践の枠組みとしてきた私達医療ソーシャルワーカーは、今こそ活躍すべき時です。しかしその反面他の保健医療職種、医学モデルから生活モデルへ視点がシフトしてきています。ソーシャルワークに類似する視点と、かつ業務上の役割が重複する他専門職(退院調整看護師等)の誕生により、その違いと有用性を明確に立証できなければ、我々はアイデンティティ・クライシスを迎える事態も起こるでしょう。
 しかし現在、社会から求められているのは医療ソーシャルワーカーへの認知を主張することではありません。人口減社会に対する医療介護サービスの確保と地域住民が安心できる暮しの確立などの課題に対し、この解決を他領域の仲間とともに考え、実行していく責務の方が優先度は高いと思うのです。

 そこで本大会では大きく社会が変化しようする現在、私達には新たな枠組み、パラダイムシフトが必然だと考えました。何が必要でしょうか。前提となるのは隣接する他領域、他分野の視点です。同じ価値規範の医療ソーシャルワーカー仲間で、ガラパゴスの議論するのはそろそろやめにして、積極的に他領域へ越境し学び、行動することがまず必要だと考えました。

 北海道での全国大会は2002年の北海道洞爺湖での開催以来15年振りとなります。北の大地北海道で、全国の皆さまをお迎えいたします。
 前回開催時620名程の北海道協会の会員は現在900名を超え、平成26年には一般社団法人化、地域住民の健康と福祉の増進に寄与することを目的とする団体として活動しています。また本大会は、北海道医療ソーシャルワーカー協会設立60周年記念の年でもあり、この節目の事業も併せて実施します。

 大会が開催される6月は北海道も一番過ごしやすい豊かな緑と爽やかな気候です。多くの全国の仲間が北海道の地を訪れていただくことを祈念申し上げます。