年会長あいさつ

このたび、第58回大気環境学会年会を平成29年9月6日(水)から8日(金)の3日間にわたり、兵庫県神戸市の兵庫医療大学にて開催させていただくことになりました。兵庫県での開催は、第9回(1968年)、第20回(1979年)に続いて3回目、38年ぶりとなりますが、この間にわが国の大気環境や本学会の役割には大きな変化がありました。

本学会は、1959年に設立された大気汚染研究協議会を母体とし、当時深刻な状況にあったわが国の大気汚染を改善させるために、様々な分野の研究者、行政担当者らが多大な時間と労力を費やしてきました。そうした活動を通じて、わが国の大気汚染の改善に大いに貢献したということができます。しかし、現在も微小粒子状物質(PM2.5)や光化学オキシダントの問題に加えて、近年の相次ぐ震災で表出してきた粉じんによる健康被害など、大気環境には多くの課題が残されています。

世界に目を向けますと、世界保健機構(WHO)は、大気汚染によって全世界で年に300万人、屋内空気汚染も含めると650万人が死亡していると推計し、大気汚染は健康に対する最大のリスクであると指摘しています。このように、現在は大気汚染が地球的規模にまで拡大しており、本学会に求められる役割もますます大きくなっています。

このような状況の中で開催される本年会は、会員が一堂に会し、日頃の研究成果を発表するとともに、貴重な情報交換を行う機会でもあります。大気環境をめぐる多くの専門家が集う年会ですので、ぜひ他の領域の専門家とも積極的に交流し、大気環境研究の発展につながる場となることを念願しています。

神戸には異人館街や南京町などがあり、異国情緒が漂う港町です。特に、今年は神戸港開港150周年を迎えることから、様々な記念イベントが行われています。年会の開催は9月初めの暑い時期ではありますが、ぜひ神戸の魅力を楽しんでください。また、神戸牛、灘の酒、スイーツなどの豊富なグルメもご堪能いただきたいと思います。 多くの皆さまのご参加を心よりお待ち申し上げます。

島正之先生

第58回大気環境学会
年会長 島 正之
(兵庫医科大学)