チュートリアルコース

毎年好評のNMR討論会チュートリアルコースを本年も、討論会前日に開催いたします。
今年度は、初めての試みとして2部構成で実施をいたします。
学生・若手研究者だけでなく、一般の方の参加も歓迎いたします。
参加費は無料で、討論会参加登録以外の方もご参加いただけますが、この機会に是非、討論会へのご参加もご検討ください。

会場
札幌コンベンションセンター 2F 204会議室
https://www.sora-scc.jp/access/
札幌市白石区東札幌6条1丁目1-1
地下鉄東西線 東札幌駅 徒歩8分
申込フォーム
https://goo.gl/aD7TQf
申込締切
2018年9月10日(月)
問い合わせ先
nmrfacility@mail.sci.hokudai.ac.jp
プログラム
受付開始(12:30-)
第1部(13:00-17:50)
朝倉 克夫先生(日本電子株式会社 科学・計測機器営業本部)
「より良いスペクトルを得るための基礎知識」(14:40-16:10)
より良いスペクトルを得るために気をつけなければならにこととは何なのか、スペクトルの解釈に焦点があてられた大学の講義ではわからないことが多々ありますが、普段なにげなくおこなっている操作手順の中にも、最終的なスペクトルの質を左右する要素が含まれています。本講座では、NMR装置を使いこなす上で美しいNMRスペクトルを得るために注意すべき点を、測定の準備からデータ処理の基礎に至るまで、その背景と共にご説明していきます。
佐藤 一 先生(ブルカージャパン株式会社バイオスピン事業部アプリケーション部)
「低分子のNMRスペクトルの解析例」(16:20-17:50)
いくつかの低分子量化合物を用いて、実際のNMRスペクトルを解析する例を紹介します。誤りなく、かつ、スムーズにシグナルの帰属を進めるために、複数個の二次元スペクトルを用いて、シグナルを関連付けながら解析していきます。
寺尾 武彦 先生(京都大学名誉教授)
「NMR を創った人たち: 第1話 夜明け前
2. Rabi の分子線 NMR の成功と Gorter の凝縮系 NMR の失敗」(13:00-14:30)
教科書では、長年にわたって積み重ねられた多数の研究成果が系統的に整理され、簡潔に淡々と記述されていて、学問が創られた背景にある含蓄に富んだ話はすっかり削ぎ落とされている。しかし、先人たちが歴史的な研究に取り掛かったきっかけや鍵となるアイデアの着想の経緯、あるいは回り道やつまずきなど創造の過程で辿った軌跡を知ることは、我々にとって間違いなく貴重な財産になるであろう。そのためには、研究を行なった本人の経歴や人物像、研究が行なわれた時代背景、研究環境、周辺の人々の関わりや反応など、学問が創られるに至った状況を様々な角度から知ることも極めて重要である。本講演では、時代を画した研究を行った人物にスポットを当てて、できる限りその研究が成功するに至った道のりや、研究が行われた現場を、様々な文脈において多面的に蘇らせる。うまくいけば、おそらくはその人物の人間性や生き方に根ざしているであろう、研究に対する姿勢やものの考え方、奥深い想いが浮かび上がってくるかも知れない。その試みを通して、研究者として歩み出した若い人たちに、“科学する” とはどういうことなのかを物語全体から感じ取ってもらえれることを願っている。今回は、昨年に引き続きBloch と Purcell に先立って NMR を試みた Rabi と Gorter について話す。
第2部(18:20-20:30)
福士 江里 博士 (北海道大学大学院農学研究院)
「ナイトミッション『未知化合物Xエックス の構造を推定せよ』
低分子のルーチン法と、追加で使える測定法」(18:20-19:50)
「Q and A」(20:00-20:30)
「ここに、構造のわからない化合物があります。NMRで構造を決めてください」との依頼があったという想定で、構造を一緒に考えていきます。低分子化合物のルーチン法による構造解析には定石がありますが、それだけでは構造推定が難しい場面にも遭遇します。その際には、追加で測定すると便利な「準」ルーチン法も併用して、明快な構造解析を目指しましょう。測定法のチョイスや解析の進めかたは状況によって変わります。工夫しながら構造決定に到達する喜びを共有し、低分子の解析になじみが薄い方にはきっかけとなるような、また、日ごろ解析をされている方には知識を整理し今後のお役に立てていただけるような時間にしたいと思います。

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