ご挨拶

日本薬剤学会第33年会開催にあたって

日本薬剤学会第33年会が、2018年5月30〜6月1日の日程で静岡にて開催されることになり、年会長を拝命いたしました静岡県立大学の並木徳之です。参加者の皆さまに「静岡に来てよかった」と思っていただける年会をつくり上げていきたいと考えていますので、何卒、宜しくお願い申し上げます。

第33年会のテーマは、「患者ベネフィットに貢献するサステナブル薬剤学」とさせていただきました。昨今の新薬の標的は、病気を発症している患者さんから臓器へ、そして組織へ、さらには細胞へと細分化し、研究も細胞レベルへとParadigm Shiftを遂げつつあります。この一方で、高齢社会の深刻度は益々高まり、患者さんを取り巻く環境も大きく変化しています。在宅での服薬状況をみると、約40%の患者さんが服薬できず、捨てられていく薬剤は75歳以上の後期高齢者に限ってみても年間約500億円を超えるとの報告もあります。如何に優れた薬剤がつくられたとしても、患者さんが服薬、使用できない薬剤であるならば、期待する治療効果を得ることはできません。そこで、薬剤は患者さんのものであるという原点に立ち戻って、薬剤学が患者ベネフィットに貢献できることとは如何なるものであるかについて改めて考えてみたいと思います。医療分野には数多くの学会がありますが、その学会のひとつひとつが、今、何に貢献できるかが問われていると思います。そのなかで薬剤学会は原点回帰することによって、過去から現在、そして現在から未来に向かって患者ベネフィットに貢献していくサステナブル(sustainable、中・長期的未来に向かって確実に継続・発展していくとの意味)な学会として存在感を示していくことでしょう。そこで本年会ではこのテーマを一貫して踏襲し、招待講演、特別講演、シンポジウム、ラウンドテーブルセッションなどを企画してまいります。また、本年会の組織委員として、日本薬学会会頭の奥直人先生(静岡県立大学教授)、並びに日本医療薬学会会頭の佐々木均先生(長崎大学教授・病院薬剤部長)にも加わっていただき、身近な他学会との交流も検討中です。さらに、次世代を担う若い研究者、技術者の啓発を目指して、学生諸君を対象に各賞の授与も組織委員会が主体となって実施する予定です。

 

ところで、本年会が開催される頃は、静岡が一年で最も輝く時期です。静岡といえば世界遺産の富士山、三保の松原ですが、駿河湾の青い海とのコントラストが最高です。徳川家康公の東照宮、駿府城、絶景の日本平、登呂遺跡などの名所や、温泉も気軽に立ち寄れます。茶畑では「夏も近づく八十八夜」の歌にもあるように、芳醇な緑茶つみが最盛期です。海の幸に目を向ければ、由比ヶ浜、用宗港の白魚、桜海老、そして焼津の鰹、清水港の鮪がお勧めで、数多くある地酒との相性は抜群です。山の幸では、山葵、竹の子、自然薯、アメーラトマトをはじめ、新鮮な野菜や果物が盛り沢山です。また、静岡は模型の街としても有名です。タミヤ、バンダイ、ハセガワのゼロ戦、戦艦大和、ラジコン戦車、ガンダムなどのプラモデルは中年男性の目を釘付けにすることでしょう。

 

東京や名古屋から、東海道新幹線ひかり号で僅か1時間の至近距離の静岡です。北海道や、九州、沖縄からは静岡富士山空港が便利です。全国から多くの方々にご参加いただき、盛会となりますように、何卒、重ねて宜しくお願い申し上げます。

2017年5月吉日
公益社団法人日本薬剤学会 第33年会
年会長   並木 徳之
(静岡県立大学薬学部 教授)

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