JCPA 農薬工業会 オンラインセミナー

日時

令和5年3月27日(月)13:00~15:00
令和5年度のオンライン会場内で、ZOOMウェビナを利用して実施します。

 

概要

食料安定供給における作物保護の重要性

 世界を見れば、食用作物の20~40%が病害虫・雑草の被害によって失われ、何億人もの人々が十分な食料を入手できずに苦しんでいる。そのため「誰一人取り残さない」ことを誓い国連でSDGsが採択された。近年、世界ではツマジロクサヨトウ等の越境性害虫が猛威を振るい、作物保護の重要性が改めて認識されている。さらに、2020年からのコロナ禍、22年からのウクライナ危機は、気候変動や病害虫などの既存の危機と相まって複合的な脅威となり、フードシステムへ様々な影響を与え、食料安定供給のために作物保護の重要性が増してきている。当会は、SDGsとも関連付けながら、農業への産業界としての貢献を掲げたビジョン活動「JCPA VISION 2025」を推進し、植物病害虫や雑草による被害を防ぐ作物保護の重要性を周知することに努めている。
 国内の農業生産現場では、担い手の減少と高齢化による労働力不足がますます深刻化し、これを打開するために、ドローンの利活用も含めて、精密農業や農機の自動化を組み合わせたスマート農業などの新技術への期待が高まってきている。次に、有害動植物の侵入・まん延リスクが高まるなどの植物防疫をめぐる状況の変化に対応した改正植物防疫法が本年4月に施行され、「総合防除」いわゆるIPMの推進が実現される。そのため、作物保護に関連する産業界として、植物科学をベースとしたイノベーションに取組み、AIを活用した病害虫の診断プログラムの開発、病害虫等の薬剤抵抗性が発達しにくい使用方法の普及などを行い、総合防除の実践に貢献していきたい。
 現在、新規農薬の創薬確率は十数万化合物に一剤と言われ、高額の研究開発費と、10年以上の期間が必要である。そのため、環境に配慮し総合防除・IPMを推進しながら、有効な薬剤をできるだけ長く使っていただくためにも、農薬の抵抗性管理をしっかり行うことが重要となる。当会では、病害虫の薬剤抵抗性発達を防ぐため、RACコードを利用したローテーション防除について解説したリーフレット「RACコードをご存じですか?」を用いた啓発活動を行っている。このセミナーでは、そのような趣旨にそって、以下のポイントについて解説する。

 

講師

廣岡 卓(JCPA農薬工業会)
播本佳明(J FRAC)

 

プログラム

  1. 食料生産を取り巻く状況と作物保護産業の取組:廣岡 卓 (JCPA農薬工業会)
    (講演50分、質疑10分)
  2. 殺菌剤耐性菌管理活動の紹介:播本佳明 (J FRAC)
    (講演40分、質疑10分)
  3. 全体質疑応答(約10分)