会頭挨拶


第33回日本外来小児科学会年次集会 会頭
矢嶋 茂裕
(矢嶋小児科小児循環器クリニック)

 第33回日本外来小児科学会年次集会を飛騨高山において開催します。2024年は名古屋国際会議場が建て替えのため使用できず、多くの施設を視察検討した結果、最終的には高山市民文化会館を主会場とし、高山グリーンホテルを副会場として開催することとしました。飛騨高山は観光地として有名ですが、学会誘致にも力を入れており、今回のような全国規模の学会開催をたいへん喜んでいただいております。宿泊施設は五千室に迫る充実度に加え、主会場は高山駅に隣接し、副会場も近くにあります。ほとんどの参加者は会場から徒歩圏内で宿泊施設を確保できますので交通、会場、宿泊の3要素が徒歩圏内で満たされるという、類を見ない開催条件となります。さらには古い町並みなどの観光スポットまでも徒歩15分程度で行けますので勉強と観光を兼ねることもできます。このように地方都市においても年次集会が成功裏に終わることができれば今後の開催においても選択枝が増えるのではないでしょうか。
 さて、「外来小児科学会の原点を求めて」と聞いてどのようなことを連想されますでしょうか。私が初めて参加した年次集会は大宮で開催された第10回です。学会発足当初の話は伝聞だけですし、学会設立に尽力された徳丸実先生、五十嵐正紘先生にはお目にかかることもなく、今日に至っています。特に五十嵐正紘先生は外来小児科学とは全く異なった先天性代謝異常の研究者としての経歴をお持ちです。ペルオキシソーム病の1つ、副腎白質ジストロフィー(ALD)という疾患は極長鎖脂肪酸が蓄積することが知られていますが、その検査方法を発見されたのが五十嵐先生でした。そして私は東京女子医大で小児循環器病学を研修した後、岐阜に戻ったときに割り当てられた研究が極長鎖脂肪酸分析でした。まさに五十嵐先生の業績を追いかけるような研究をしていたのです。
 本学会は開業医だけでなくこうした研究者や病院の勤務医の先生方、あるいはメディカルスタッフの方も参加し、臨床も研究もできる多様な人材の集まりであることを再認識して欲しいことから原点を探ってみたいと思った次第です。
 2024年は新型コロナが過去の話になり安心して現地参加できることと思います。これまで我慢してきた交流の場、そして久しぶりの観光の場としても飛騨高山は最適の地となることでしょう。多くの皆様のご参加を期待しています。