ごあいさつ

ごあいさつ

はじめに。2018年7月7日広島で開催された第36回年次大会当日、記録的な豪雨により西日本で甚大な被害が出ました。被害に遭われた方々には心よりお見舞い申し上げます。これに伴い執行部はじめ大会実行委員は我々が想像するに測りしれないご心労で大会運営をされていた事。さらに、多くの会員は交通が遮断された中、命がけで大会に参加しようと大変なご苦労をされた事。この努力、情熱に心より御礼を申し上げます。

歯周病は歯周組織の一部である歯根膜が何らかの原因で障害を受けその結果として歯を失う疾患と捉える事ができ、歯周炎とは歯根膜の炎症と捉える事もできます。したがって歯周病の治療は歯根膜の治療と言っても過言ではなく、我々は日々の診療で実際には目で観察する事が難しいこの歯根膜の炎症状態を色々な診査法によって診断し治療を行っています。そして我々が使う言葉の「歯を残す」は「歯根膜を残す」に他ならないと思います。

歯科医師、歯科衛生士はこのマクロ的な視点での各歯単位の歯根膜の診断をもとに大局的見地として歯周病を口腔内の感染症として扱い、プロフェッショナルケアやセルフケア指導を行なうことで口腔機能の回復に日夜全力を投じております。
今回、北海道で開催される年次大会ではテーマを「歯根膜を活かす」と題して歯牙の周りに存在する一つの器官としての歯根膜に焦点を絞り、どのようにして残存する歯根膜の炎症状態を診断し、治療、活用、そして歯医者の使命として最大の目標である歯をより長く残すといった原点まで戻り掘り下げたプログラムを組んでみました。歯根膜の診断から臨床応用まで最前線でご活躍されている先生のご講演に期待するとともに歯周病に真摯に向き合う臨床歯周病学会会員の日常の診療にこの大会が大いにお役に立てればと願っております。

末筆ながら今回37回年次大会が数々の思いに報い継いで無事に開催できる事を願い我々実行委員一同鋭意準備に邁進しております。皆様がご健勝をもって御参加頂けますよう北国札幌にてお持ち申し上げます。

特定非営利活動法人日本臨床歯周病学会 第37回年次大会
大会長 今村 琢也