第97回日本衛生学会学術総会
学術総会長 東 賢一
近畿大学医学部予防医学・行動科学教室 教授
この度、第97回日本衛生学会学術総会を、2027(令和9)年3月10日(水)から12日(金)の3日間、大阪市中央公会堂(大阪市内)で開催いたします。
日本衛生学会は、1902(明治35)年の「衛生学」、「細菌学」、「伝染病学」が連合した日本聯合医学会第1回学会分科会に遡れば実に120年、1949(昭和24)年の第1回「日本衛生学会」総会からは70年を超える歴史と伝統のある学会です。ヒト(宿主)-環境-病因を包括的に理解し、健康維持増進を目指す社会医学の分野として、感染症、環境汚染、栄養・食品安全、住環境、少子化対策、精神的ストレス、国際保健等々、その時代における社会・環境問題に取り組んでまいりました。また、動物・細胞を用いた実験研究および人を対象とする疫学研究双方のエキスパートを擁することも大きな特徴です。
日本では、第二次世界大戦後の高度経済成長期において、環境汚染による産業公害の問題を引き起こし、環境汚染は地下水汚染や水道水汚染としだいに広域化し、内分泌攪乱化学物質やシックハウス症候群など生活環境全体に拡大していきました。2000年代以降は、微小粒子状物質(PM2.5)などによる地球規模の大気汚染が顕在化し、近年では有機フッ素化合物(PFAS)による地下水汚染やマイクロプラスチックによる生活環境汚染が新たに明らかになってきました。地球温暖化を含む気候変動も生活環境や衛生環境を悪化させ、さまざまな疾病や健康障害に関与することが明らかになってきています。2020年に世界規模での感染拡大を引き起こした新型コロナウイルス感染症は、人の行動や環境が感染拡大に大きく関与することが明らかになっています。従って、これらの問題に取り組むにあたっては、人の身体とそれを取り巻く環境との関係を解明することを専門の一つとする衛生学者の役割が極めて重要です。
「衛生」の言葉に意図される「生を衛(まも)る」は、衛生学が始まって以来不変の概念です。このことを私たちは継承し、衛生学を発展していかなければなりません。さまざまな課題に対応するにあたっては、病態解明や疾病予防のための新たな科学的手法や技術開発が必要となります。そのため、今回のテーマは「継承と発展-衛生学の新たな時代へ-」といたしました。
皆様には、多くの方々、多くの分野と繋がり、実り多い機会としていただけましたら幸いです。
多くの皆さまのご参加を心よりお願い申し上げます。