市民公開講座・教育講演

市民公開講座

10月4日(日)12:00~13:30

講演名

『「自分の一番を見つける」10の黄金法則』

講師紹介

杉山 芙沙子 氏

  • パーム・インターナショナル・テニス・アカデミー校長
  • JOC ペアレンツサミットプロデューサー(文部科学賞支援事業)
  • 一般社団法人 次世代SMILE 協会代表理事
  • 一般社団法人 日本健康予防医学会理事

講師略歴

  • 聖心女子大学文学部心理学科卒業
  • 早稲田大学大学院スポーツ科学研究科(平田竹男研究室)修了
  • 順天堂大学大学院医学研究科医学専攻博士課程(小林弘幸研究室)在学中
  • 1997年 杉山愛をサポートするチーム「チーム愛」のディレクター
  • 1998年 茅ケ崎市にパーム・インターナショナル・テニス・アカデミーを設立
  • 2001年 「チーム愛」のディレクター&コーチ
  • 2004年 文科省スポーツ功労賞受賞
  • 2010年4月、早稲田大学大学院スポーツ科学研究科(平田竹男研究室)に入学。
    日本のトップアスリート(杉山愛、錦織圭、石川遼、宮里藍ら)の両親の子育てに着目した論文を執筆、優秀論文賞受賞
  • 2011年3月、同大学院修了
  • 2013年4月 スポーツ産業学会にて奨励賞受賞
  • 2014年6月、一般社団法人次世代SMILE 協会を設立、代表理事に就任
    トップアスリートのコーチング、関わりから得られた「その人の持つ力を最大限に引き出す」ことを「Dual Goal=スキル×人」というスローガンが元に活動。全ての人が、各々の強み、弱みを気付き・受け入れ、スキルと人としての両方を成長していくことを提唱している。「チームビルディング」「コーチング」「スマイルマネジメント」などの手法を取り入れ、スポーツコーチ、子どもたちに関わる両親、保育園の先生、そして企業を対象に活動を行っている。

主な著書と講演内容

『一流選手の親はどこが違うのか』

元プロテニスプレーヤー杉山愛の母親である杉山芙沙子が、石川遼、宮里藍、錦織圭の親たちに聞いた「子育ての黄金法則」。
石川遼、宮里藍、錦織圭。日本を代表するアスリートの彼らは、そのプレーだけでなく、人間性の素晴らしさでも人々を魅了する存在となっている。彼らの親は、いったいどんな方法で「あんないい子」を育てたのか?そこに普遍的な法則はあるのか?
母としてコーチとして杉山愛を世界的テニスプレーヤー(世界シングルスランキング8位、世界ダブルスランキング1 位)に育てた杉山が、トップアスリートの親たちと共に探る「人間力育成」の極意。
スポーツという枠にとらわれない普遍的な教育本として好評。

『杉山式スポーツ子育て』

世界で活躍するトップアスリートの子育てにはある共通項があった。
本書は、実の娘であり、コーチとして指導したプロテニスプレーヤー杉山愛引退後、早稲田大学大学院・スポーツ科学研究科にすすんだ杉山初の育児本。「トップアスリートたちは、どうしてあんなに高い人間力とすてきなオーラを持っているのだろう」という疑問は、「人間力を高めるツールとしてのスポーツ」の効能をまとめる原動力に。
日本のトップアスリート(杉山愛、錦織圭、石川遼、宮里藍ら)の両親の子育てに着目した「優秀論文賞」をベースに、「子どもは社会からの預かりもの」という考えの杉山自身の子育て論を惜しみなくまとめている。
子どもの可能性(伸びしろ)は5歳で8割決まる。そのために、いま両親がすべき10の習慣とは。
本書は「トップアスリートを育成するための本」ではなく、スポーツと「人間力」の関係に着目し、スポーツと子育ての上手な付き合い方と効果がしっかりとわかる内容。子育てに悩む、お父さん・お母さんにぜひ読んで頂きたい一冊。

『コラボレーション-母と娘の世界挑戦-』

テニス界で世界の頂点をめざす母と娘の戦い。17 歳でプロに転向して以来、常に世界の第一線で活躍してきた杉山愛。過酷なツアーの中で人間的にも技術的にもその進化をサポートしてきたのが母・芙沙子だった。二人がつづる信頼と努力の軌跡。

これらの著書内容と、現在のスマイルシッププログラムの活動内容等を盛り込んでお話していただきます。

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教育講演①

10月3日(土) 17:45~19:15

講演名

『「存在を肯定する」作業療法へ ――伝えることでつながれ、うまれる』

講師紹介

田島 明子 氏

  • 聖隷クリストファー大学リハビリテーション学部
    作業療法学科准教授 (作業療法士)
  • 聖隷クリストファー大学大学院リハビリテーション科学研究科
  • 専門分野 ( 障害学,作業療法学,医療社会学 )

講師略歴

  • 1993~2001年 東京都心身障害者福祉センター
  • 2001~2009年 東京都板橋ナーシングホーム
  • 2009~2011年 吉備国際大学保健科学部作業療法学科専任講師
  • 2011年~ 聖隷クリストファー大学リハビリテーション学部作業療法学科准教授
  • 2012年~ 聖隷クリストファー大学大学院リハビリテーション科学研究科
    博士前期課程(科目担当・研究指導)、博士後期課程(科目担当)

主な著書

  • 『日本における作業療法の現代史
    ――対象者の「存在を肯定する」作業療法学の構築に向けて』
  • 『障害受容再考――「障害受容」から「障害との自由」へ』
  • 『「存在を肯定する」作業療法へのまなざし――なぜ「作業は人を元気にする!」のか』
  • その他(共著)
    「第5章 日本のリハビリテーション学における「QOL」の検討」
    天田城介・北村健太郎・堀田義太郎編
    『老いを治める――老いをめぐる政策と歴史』

講演内容

『「存在を肯定する」作業療法へ――伝えることでつながれ、うまれる』

セラピストの皆さんは「障害受容」という言葉、時折用いたりするでしょうか。私は作業療法士の養成校を卒業後、ある施設に勤務しましたが、そこで周囲のベテラン支援者の皆さんが「Aさんが障害受容できていなくて困る」というような発言をしているのを聞き、違和感を覚えたところが出発点になり、研究をするようになりました。

「障害受容」という言葉についていろいろと考えていくうちに、その言葉は障害にまつわる様々な否定観(感)を本人に受け入れさせようとする健常者製の言葉であると感じるようになり、「障害」は「受容」するべきものかと疑問を持つようになりました。例えば健常者の人に「自分の身体を受け入れろ」なんてことは言いませんよね。どうして障害のある人たちだけが自身の身体の障害を受け入れなくてはいけないのでしょうか。その理由を探っていくと浮かび上がってきたのが「障害を受容していない=治ることに固執し、代償的な訓練に移行しづらい」というロジックでした。つまり「障害を受け入れてもらった方が支援者にとって支援がスムーズに行くから」というものでした。もしも使っているセラピストの方がいるとしたら「ええー??私そんなつもり全くない!」と思われると思います。そこにこの言葉のマジックがあると思うのです。

そして「存在・障害の肯定」を支援の原点にしてはどうかと提案しはじめました。「障害=できないこと」と言えると思います。この社会は「できること」に価値を置いている社会だと言えます。皆さんも、能力があって、何でもできる人は魅力的に感じますよね。お給料も沢山もらえる。翻ると、障害があって働く能力が足りないと、働く機会が得られなかったり、価値を見いだせず魅力が薄らいで見えてしまったりすることがあるかも知れません。このように障害(あるいは障害のある人)が否定的に価値づけられることについて皆さんはどう思われますか。「仕方のないことではないか」と思う人もいるかも知れないですが、中には「それはおかしい」と思われる方もいるのではないでしょうか。私自身「それはおかしい」と思いました。ですが、これは世の中一般の価値観ですから、一人で「それはおかしい!」と言うと「あの人、頭おかしいんじゃないか…」と思われるのがオチでした。ところがそれを堂々と大著にして主張している人がいました。それが後に大学院で指導を受けことになった社会学者の立岩真也氏です。学んでいくと、こうした「存在・障害の肯定」という視点は障害学という学問の基盤にある考え方と共通していることが見えてきました。そうすると学問とか研究というのは面白いもので、障害学を中心にして、いろいろな研究の広がりがあることも見えてきました。私が見た広がりそのままに出版したのが『「存在を肯定する」作業療法へのまなざし――なぜ「作業は人を元気にする!』(三輪書店)です。

この本は作業療法士だけでなく、いろいろな学問領域の人に執筆をしていただきました。脳性麻痺による障害を持ち小児科医、そして自身の身体を基点に当事者研究をしてきた熊谷晋一郎氏、社会学者の立岩真也氏、理学療法士で現象学的研究をしている玉地雅浩氏らです。3氏は作業療法のことをほとんど知らないですが、本著で書いてくださったことは今後の作業療法をイノベートするポテンシャリティを持っているとすごく感じます。

本学会のテーマは「発信」です。「発信」は何のためにするのでしょうか。共感を得、つながるためにするのではないでしょうか。多領域の人に作業療法を発信し、いろんな分野の人とつながったら、作業療法はさらに豊かに発展していくのではないかと思っています。講演では、私のささやかな取り組みですが、自分の違和感から出発した研究を通して、いろいろな人とつながり、そして創ってきたこと、今後創りたいこと等についてお話しさせていただきます。

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教育講演②

10月4日(日) 10:15~11:45

講演名

『多職種に理論・技術を伝えるコツ:信念対立解明アプローチを例にして』

講師紹介

京極 真 氏

  • 吉備国際大学 准教授
  • 1976年大阪府生まれ
  • 博士(作業療法学),作業療法士,解明師見習。
  • 臨床は精神障害領域が専門。

研究

  • 信念対立解明アプローチの体系化
  • OBP2.0の共同開発
  • 2010年より現職で,研究室には博士課程6名
    修士課程4名が在籍し,日夜研究活動に勤しんでいる。

主な著書

著書は計16冊(単著4冊,編著12冊)ある。
現在,印刷中は1冊,執筆中は2冊,企画中は3冊ある。単著は以下の通り。
『医療関係者のためのトラブル対応術』『信念対立解明アプローチ入門』
『医療関係者のための信念対立解明アプローチ』
『作業療法士のための非構成的評価トレーニングブック』

公式ホームページ等

講演内容

『多職種に理論・技術を伝えるコツ:信念対立解明アプローチを例にして』

作業療法では、多職種連携が欠かせません。円滑な多職種連携のためには、自分たちの理論・技術を、多職種に伝える必要があります。しかし、それをうまく行えない人が少なくありません。

私は約6年の歳月をかけて研究し、2011年に信念対立解明アプローチを提唱しました。それから現在に至るまでに、信念対立解明アプローチは作業療法士だけでなく、医師、看護師、理学療法士、薬剤師、社会福祉士、音楽療法士、鍼灸師、柔道整復師、医療事務などの多職種に普及していきました。またこの理論はヘルスケア領域を越えて、教育、哲学、人工知能、情報工学などの世界へも継承されています。今年度から北海道江別市では、市の教育委員会が後援になって、信念対立解明アプローチ研修会が年間を通して開催されます(修了書も発行されます)。

信念対立解明アプローチの提唱からわずか数年で、この理論が、さまざまな領域に伝わっていったのは、なぜでしょうか?

講演では、信念対立解明アプローチを例に、理論・技術を伝えるコツをお話しし、多職種連携を促進するヒントを示したいと思います。

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