アートな島「小豆島・直島」をめぐるひとり女子旅

アートな島「小豆島・直島」をめぐるひとり女子旅

直島パヴィリオン 所有者:直島町 設計:藤本壮介建築設計事務所

旅する地球読者のみなさん、ひとり旅をしたことはありますか?
私が初めてひとり旅に選んだ場所は、「小豆島」と「直島」。香川県・高松市を拠点に1泊2日で2つの島に行ってきました!
この旅の目的は、アートや自然に触れてリフレッシュすることです。
目的さえ決めれば、あえて旅の計画は練らず、流れに身を任せて直感で行動できるのが、ひとり旅の魅力です。
今回は、ひとりだからこそ楽しい、小さな島でアートをめぐる旅の魅力を紹介します。

1. 高松からフェリーで「小豆島」へ

大巻伸嗣「Liminal Air - core -」

大巻伸嗣「Liminal Air - core -」

旅のスタートは、香川県高松市「高松港」からはじまります。
高松港までのアクセスは、「高松空港」からJR高松駅行のリムジンバスに乗り、終点の「JR高松駅」で下車(乗車時間:約45分)。JR高松駅から「高松港フェリーのりば」までは徒歩約5分。
高松港のシンボル、大巻伸嗣氏の作品「Liminal Air - core -」 が目印です。
島々への玄関口である高松港を象徴させるカラフルな作品が、フェリーの出航を見届けます。

港の景色

港の景色

船に揺られること約1時間。小豆島の玄関口「土庄港(とのしょうこう)」に到着しました!
天気に恵まれた初日。おだやかな瀬戸内海に囲まれ、心地よい風を感じ、ときには港を行き交う船の汽笛音が鳴り響き…
なんだかのんびりできそうです。

2. 元パン職人が作るピザ屋さん「Pizza Kamos」

Pizza Kamos

島の会社を改装してピザ屋に

観光をする前に、まずは腹ごしらえ。
冒頭で、旅の計画は「なんとなく流れに身を任せて...」と言いましたが、ランチはここで食べると決めていました!
誰かと食事に行くときは、会話をしていれば待ち時間はあっという間ですが、ひとり旅の場合そうはいきません...。
食事の場所はいくつか候補を挙げるなど事前にリサーチをしておくと良いと思います。

店内イメージ

ひとりでも入りやすいカウンター席

「Pizza Kamos」は、「土庄港」から徒歩約7分の住宅街にあります。
店内は、アンティークのインテリアや雑貨が並び、落ち着いたカフェのような空間。
私は、窓際のカウンター席に案内されました。カウンター席は、おひとり様にとってありがたいですよね!

ピザ窯から良い香りがしてきます...!

ビスマルク

生地が見えないほどの生ハムが!

どのピザも美味しそうでしたが、「ビスマルク」を注文しました。
生ハム、モッツァレラチーズ、その上にとろけた半熟卵...それだけでも最高な組み合わせですが、なんといっても生地にこだわりが詰まっています!
店主は元パン職人。ピザ生地は天然酵母で発酵させているため、香りが良くカリっともちもちしています。
パン好きの私にはたまらない美味しさでした!ちなみに、店名の「kamos」は「醸す」が由来です。
店主のこだわりの詰まったピザをぜひ食べてみてくださいね!

Pizza Kamos

住所:

香川県小豆郡土庄町甲 吉ヶ浦6190−80

アクセス:

土庄港から徒歩で約7分

3. 小豆島の絶景スポット「道の駅 小豆島オリーブ公園」

道の駅 小豆島オリーブ公園

絶景フォトスポット

美味しいピザを食べた後は観光!
土庄港から路線バスで約25分。「道の駅 小豆島オリーブ公園」に到着しました。
バスを降りるとすぐに絶景スポットが!瀬戸内海を見下ろす小高い丘には、約2,000本のオリーブの木が植えられています。

幸せのオリーブ色のポスト

幸せのオリーブ色のポスト

瀬戸内海をバッグに、オリーブカラーのレトロなポストがあります。
オリーブの花言葉である平和や繁栄にちなみ、幸せなお手紙を届けて欲しいという理由から設置されました。
「オリーブ記念館」では、オリジナルポストカードと切手を販売しており、その場で手紙を書いて投函することができます。
誰かに贈るのも良いですが、ひとり旅の記念に自分宛に書いて贈ってみるのも思い出になりそうですね。

青い空に映えるギリシャ風車

青い空に映えるギリシャ風車

少し歩くと、ギリシャ風車が見えてきました。
この風車は、小豆島と姉妹島提携を結ぶ「ギリシャ・ミロス島」との友好の証として平成4年に建設されました。

ギリシャ風車

まるで地中海のような景色

写真を見て、小豆島の穏やかな雰囲気が伝わりましたでしょうか?
小豆島の特徴である温暖で地中海のような気候が、オリーブ栽培に適しており、なんと日本のオリーブ生産量の95%が香川県産なんです!
希少価値の高い小豆島オリーブをぜひお土産に購入してくださいね。

ハーブガーデン外観

ハーブガーデン

公園内にあるハーブガーデンでは、120種類以上のハーブが栽培されています。
お気にいりのハーブがあれば、ここで購入することができます。

ハーブガーデン店内イメージ

中に入ると、元気いっぱいな135種類以上のハーブやオリーブの苗木が並んでいます。
ここでオリーブの苗を購入したかったのですが、自宅まで持ち帰りが難しく断念しました...。
インターネット通販でも販売しているので、持ち帰りが難しい方は、ほしい品種をここでチェックしておくと良いかもしれません。

道の駅 小豆島オリーブ公園

住所:

香川県小豆郡小豆島町西村甲1941-1

アクセス:

路線バスで「サン・オリーブ」下車すぐ、または「オリーブ公園口」下車徒歩約5分

4. 高松からフェリーで「直島」へ

大巻伸嗣「Liminal Air - core -」

大巻伸嗣「Liminal Air - core -」

2日目は、直島へ!直島行きのフェリーも「高松港」から出発します。
フェリーの船名は、「あさひ」と「なおしま」の2種類。どちらも赤い模様が目印です!

船内

船内からの景色

高松港から「直島・宮浦港」までは、フェリーで約50分。
少し雲行きが怪しいですが、晴れることを願って向かいます。

赤かぼちゃ

草間彌生「赤かぼちゃ」2006年 直島・宮浦港緑地

直島・宮浦港に到着しました。太陽も見えてきました!
着いてすぐに見えるのが、直島のシンボル、草間彌生氏の作品の「赤かぼちゃ」。
みなさまも一度はどこか見たことがあるのではないでしょうか?
青い海と青い空に「赤かぼちゃ」が良く映えていますね。
中は空洞になっていて入ることができます。中に入って、穴から覗く瀬戸内の景色も美しいです!

直島パヴィリオン

直島パヴィリオン 所有者:直島町 設計:藤本壮介建築設計事務所

「赤かぼちゃ」の先に、何か白いものが見えました。これは何でしょうか?
こちらの作品は後ほど紹介しますね。

サイクリング中の景色

サイクリング中の景色

ここからは、サイクリングで直島を散策します!
宮浦港で電動自転車を借りて、「家プロジェクト」のある「本村地区」に向かいます。
本村地区までは電動自転車で約20分。私は寄り道をしたので40分くらいかかりましたが...それもひとり旅だからこそできることですね。(笑)
電動自転車だから坂道も楽々。山や瀬戸内海を眺めながら、風を切って走る爽快感がたまりません!
直島は、一周約11㎞なので、30分もあればサイクリングでグルっと回れますよ。

5. 家の空間そのものを作品化した「家プロジェクト」を見る

本村ラウンジ&アーカイブ

本村ラウンジ&アーカイブ 写真:鈴木研一

本村地区に到着しました。
まずは、「本村ラウンジ&アーカイブ」で家プロジェクト鑑賞チケットを購入します。
私は、6件(角屋・南寺・護王神社・石橋・碁会所・はいしゃ)鑑賞ができる共通チケット(1,050円)を購入しました。

ここからは先は、作品の一部を紹介します。

共通チケットには、「きんざ」は含まれません。「きんざ」は完全予約制です。

家プロジェクトとは?

直島・本村地区において展開するアートプロジェクト。
空き家になった民家などを改修し、空間そのものをアーティストが作品化しています。
このプロジェクトは1998年にはじまり、現在7軒が公開されています。

南寺外観

家プロジェクト「南寺」 安藤忠雄(設計) 写真:鈴木研一

家プロジェクト鑑賞で一番楽しみにしていた「南寺」。
日本を代表する建築家の安藤忠雄氏が設計した新築の中で、光の芸術家ジェームズ・タレルの作品をご鑑賞いただけます。

中に入ると、不思議な世界へ。
今まで見たことない世界に引きずり込まれるような...そんな体験ができました。

はいしゃ外観

家プロジェクト「はいしゃ」 大竹伸朗 舌上夢/ボッコン覗 写真:鈴木研一

続いて紹介するのは、「はいしゃ(舌上夢/ボッコン覗)」。
この作品は、かつて歯科医院兼住居であった建物を、現代美術家の大竹伸郎氏がまるごと作品化をしました。
廃材や看板、ネオン管などがコラージュされた外観。内観もユニークで「この空間にこれ?」と思ってしまうような廃材までアート作品の一部として飾られています。
見るだけで元気になれる作品です!

角屋内装イメージ

家プロジェクト「角屋」 宮島達男 Sea of Time ’98 写真:鈴木研一

最後に、紹介するのは「角屋」。
200年ほど前に建てられた家屋を修復し、作品化をしています。中に入ると、アーティスト宮島達男氏の作品をご鑑賞いただけます。
広間に浮かび上がるデジタルカウンターの光が印象的な作品でした。
作品の一部では、直島町の人々が制作に参加しています。

家プロジェクトの魅力は、建物の外観だけでなく、中に入って五感でアート鑑賞を楽しめること。
少しでも気になった方は、実際に訪れて体感してみてください!

直島港ターミナル外観

妹島和世+西沢立衛 / SANAA「直島港ターミナル」

家プロジェクトを鑑賞した後、お昼を食べに直島港(本村港)の方へ向かいます。
途中、路地の奥に何かが見えてきました。

直島港ターミナル

妹島和世+西沢立衛 / SANAA「直島港ターミナル」

この作品は、「直島港ターミナル」。
妹島和世氏と西沢立衛氏の建築家ユニットSANAAの作品です。
だれもが船乗り場がすぐにわかるよう、まちのランドマークとして作られました。
中は、待合室や駐輪場、トイレが完備されています。

本村地区イメージ

本村地区のまち並み

ここまで紹介した作品はごく一部。
まちを歩いていると、「あれってなんだろ?」「こんなところに!」と、様々アートとの出会いが楽しく、時間を忘れて島散策にのめり込んでしまいました。
直島の自然とアートと日常が馴染みつつも、非日常的な空間を体感できる島散策。たくさんのアート作品に触れ、なんだか感性を磨かれた気がします。

6. 港の見える古民家カフェ「コンニチハ」

カフェコンニチハイメージ

カフェコンニチハ

お昼を食べに「直島カフェ コンニチハ」へ。
お店は、直島港(本村港)のすぐそばにあります。

カフェ外観

民家を改装したカフェ

庭にあるウッドデッキと小屋が目印です!

コンニチハ~とあいさつをして店内へ。
店内は民家のようなアットホームな雰囲気です。

料理イメージ

港の景色を眺めながらいただきます!

私は、「ホエー豚のベーコンとクリームチーズのリゾット」を注文しました。
瀬戸内海を望める窓際席で、港の景色と波音を聴きながら...チーズが濃厚でおいしかったです!
ぼんやり景色を眺めながら午後の計画を立て、ひとりのランチタイムを満喫できました。

直島港

港の景色

お腹がいっぱいになった後は、港の周りを散策!
漁船がたくさん停まっていますね。

直島カフェ コンニチハ

住所:

香川県香川郡直島町845-7

アクセス:

直島町営バス停「農協前」下車徒歩約2分

7. 最後までアートを楽しむ

直島パヴィリオン

直島パヴィリオン 所有者:直島町 設計:藤本壮介建築設計事務所

アート鑑賞は最後の最後まで続きます。

直島に着いてすぐに目に入ったあの作品の正体は…
直島町町制施行60周年を記念して制作されたオブジェ「直島パヴィリオン」でした。
この作品は、27島からなる直島諸島の「28番目の島」をコンセプトに制作されました。
約250枚のステンレス網で構成されています。

直島パヴィリオン

直島パヴィリオン 所有者:直島町 設計:藤本壮介建築設計事務所

「赤かぼちゃ」同様、中に入ることができます。

直島パヴィリオン

直島パヴィリオン 所有者:直島町 設計:藤本壮介建築設計事務所

ちょうど夕暮れ時のため、空の色と作品の影のコントラストが美しく、幻想的な空間を作り出していました。

赤かぼちゃと夕日

草間彌生「赤かぼちゃ」2006年 直島・宮浦港緑地

そして、朝訪れた「赤かぼちゃ」との2度目の再会。赤かぼちゃに太陽が沈む景色を見ながら、高松行きのフェリーを待ちます。

直島アートの魅力は、季節や天気、時間によって作品の表情が変わるところ。
一度見た作品も、時間を変えて訪れてみると新たな発見がありますよ。

おおづちじまと海

奥に見えるのが大槌島(おおづちじま)

夕日を眺めながら、ゆったりとした時間が流れます。
奥に見える島は、「大槌島(おおづちじま)」。瀬戸内に浮かぶ無人島です。
どの角度からもきれいな三角形に見えることから、「さんかく島」や「おむすび島」とも言われています。

フェリーからの景色

フェリーからの景色

フェリーに乗り、高松港へ。

高松港

高松港へ戻ります

デッキに上がり、島々に沈む太陽を最後まで見届けました。
景色を見たり、撮った写真を眺めたり、空港で買うお土産を考えたりすること約1時間。
あっという間に高松港に到着しました。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
ひとり旅には、誰かと一緒の旅行とは違った楽しみがあります。
ひとりだからこそ、旅を通してじっくりと自分の気持ちに素直に向き合うことができました。私は今回の旅をきっかけに、ひとり旅にハマりリピートしています。
また、2022年は3年に一度開催される、「瀬戸内国際芸術祭」の年です。ぜひこの機に、アートと自分と向き合う旅をしてみてはいかがでしょうか?
※瀬戸内国際芸術祭2022は、11月6日をもって閉幕しました。次回は、2025年に開催される予定です。


今回の宿泊先について
小豆島や直島にも宿泊施設がありますが、効率よく島めぐりをしたい方は、高松港周辺のビジネスホテルに宿泊するのがおすすめです。
今回私は2021年10月にオープンした「ホテルウィングインターナショナル高松」に素泊まりしました。
往復のフェリー代は、高松↔小豆島(1400円)、高松↔直島(990円)と高松↔直島に関しては往復割引もあり、お得に行き来ができます。
高松港周辺には香川名物のうどん屋さんがたくさんあるので、朝食にうどんを食べてから島めぐりをするのがおすすめですよ!

この記事は2022年8月10日時点の情報です

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この記事を書いた人

吉川綾乃

食べるのも作るのも大スキ!メルマガ担当

吉川綾乃

旅の楽しみは、本場のグルメを食べること。好き嫌いがないので、なんでも食べられます!
海外旅行では、スーパーマーケットや市場を見て歩くのが好きです。思い出の味をお家で再現するために、お土産は大体調味料。おすすめ調味料は、ベルギー産のマスタードです!