江田島でエシカル・ツーリズムをはじめよう!
最近よく耳にする「SDGs」や「サステナブル」。私たちの住むこの地球を守るために、環境や社会に配慮した行動を求める動きが世界中で大きくなっています。
旅行でも、そのようなところに配慮しつつ、でも我慢するわけではなく特別感や癒しを得られるのが理想的ですよね。
広島県の江田島にそんなお宿があると聞いて、実際に行ってみました!
近畿日本ツーリストがおすすめするエシカル・ツーリズムをご紹介します。
1. お宿の江田島荘へGO!
皆さんは「江田島」をご存じでしょうか。
たくさんの島を有する瀬戸内海で4番目の大きさの江田島は牡蠣やオリーブ、柑橘の生産も盛んで気候も温暖な穏やかな広島県の島です。
お宿のある江田島には船か車で向かいます。
私は、広島市内の宇品港を出発して、高速艇の瀬戸内シーラインを利用しました。約30分ほどで、江田島の中町港に着きます。
ちなみに、車の場合はフェリーで渡るか、呉市から橋で陸路で入ることもできます。
今回お邪魔した「江田島荘」は、中町港からは歩いて約15分。海沿いを歩いていくと気持ちいいです!
江田島に2021年7月にオープンした施設で、コンセプトは「こころと身体が元気になる温泉宿」。
サステナブルでエシカルな体験ができると聞いて、想像が膨らみます。
ちなみに、サステナブルは「持続可能な」、エシカルは「倫理的な」という意味で、「持続可能な社会や未来のために、人や環境、旅行先・地域に配慮した旅行」のことエシカル・ツーリズムと言います。
館内に入ってすぐのロビーは天井が高く、開放的!瀬戸内海が目の前に広がる、気持ちの良い空間が広がります。
江田島荘に面する海は、瀬戸内海の中でもさらに内海のため波も穏やかで静かです。
このロビーで、早速サステナブルなポイントを発見しました。
チェックイン時にいただいたウェルカムドリンク&スイーツ。
季節ごとに江田島で採れた食材を使ったメニューで提供されるそうで、私が伺ったこの日は「江田島のサツマイモケーキ」と「自家製ハーブティー」をいただきました。
ロビーにある「陽だまりカウンター」では、時間帯や季節に応じたドリンクやスイーツがあり、宿泊されている方はいつでも利用できます。
お夜食にはカレーやお茶漬け、朝食時には自家製ジャム付きのヨーグルトなども!
また宿泊者の方には専用のコインが渡され、広島の地酒の試飲も出来ます。
このように、地域で生産したものをその地域で消費する「地産地消」は地域の活性化に加え、食材等の輸送のコストも少なく、輸送時のCO2排出量なども抑えることにも繋がります!
さらにこちらにも。
壁紙や照明などに使われている、暖かみのあるこの素材は江田島の伝統産物「紙布(しふ)」です。
天然素材の紙糸を織り上げて作る紙布の製造メーカーは、今では日本でも2社しかないそうです。
紙布を作る工程は細かく大変で、また安定した気温や湿度が必要となるため、製作ができる条件の地域はかなり絞られるとのこと…。
江田島の穏やかな気候と職人の方の技術によってできるものと知ってみると、その繊細さに感動します!癒される~。
こういった伝統や工芸品を守っていくことも、サステナブルな地域づくりには欠かすことができません。
そして、こちらは何でしょう・・・。
ミニライブラリーと書かれたブースが?
中に入ると、インクがずらり!すごい!!!
ここには、日本初の国産万年筆を生み出した広島発祥の企業「セーラー万年筆」のインク約120色が揃っています。
そのインクで、ガラスペンや、広島の工芸品「熊野筆」で書く体験ができます。
インクは、ラベルで見ると同じ色に見えますが、書いてみると微妙に違います。
実際に書いてみるとカリカリとすごく楽しくて、全色試したくなりました。
江田島荘の前にはポストもあるので、思い出をしたためて送るのもいいですね♪
ここでも広島の産業を感じることができました。
次はお部屋に向かいます!
2. お部屋にもサステナブルなポイントが
和洋室のお部屋に入ると、大きな窓から見えるおだやかな海が見えます。
気持ちいい~!
目の前に広がる海に浮かんでいるいかだは「牡蠣いかだ」です。
広島といえばやっぱり牡蠣ですよね!
お部屋に置いてある、館内滞在用のバッグも「紙布」でできていました。
大・中・小と揃っていて、ちょっとお出かけならこのサイズ、海まで行くならこっち・・・と選べるのが楽しいです。
実際に触ってみると、かなり丈夫!
このような工芸品を生活に取り入れてみるのもいいですね♪
館内の売店で購入することも出来ます。
そして、こちらのお部屋にはテレビはありません。
館内を散策したり、お部屋でぼーーーっと海を眺めたり・・・、日常を忘れてのんびりできそう・・・。
さらにリラックスできるアイテムを発見!
アロマオイルや、お庭でお好みのハーブを摘んでハーブティーも楽しめるようです。
客室のお水はリサイクルできるアルミ缶に入っています。
プラスチックごみを削減するための取り組みをされているそうです。
アメニティは紙製のパッケージで包装されていいて、歯ブラシは廃棄されるお米を原料にした素材でできているそうです。
客室内の備品に加えて、目の前の海岸のビーチクリーン活動などを定期的に行うことで、プラスチックごみ削減、さらに海の豊かさを守る活動をされているそうです。
ちょっとお昼寝でもしようかな~。
低めのベッドに横になろうと見てみると、施設の方からのメッセージが。
こだわりのシーツ!確かに、ホテルで見かけるパリッとした質感ではなく、ちょっとしわのある、ガーゼのようなシーツ。
夏は涼しく、冬は暖かい、包み込んでくれるような布団です。
こちらのシーツは、江田島市内の工場で洗濯ができる素材を選ばれているそうです(雇用を守るため)。
また、マットレスも広島のメーカー「ドリームベッド」とのこと。
ここでも地域の産業を守っているんですね~。
ガーゼの素材なので軽く、また、私が伺った日は暑い日だったのですが、風通しも良く包み込まれるような感覚でした。
冬場は逆にふんわりと暖かく感じられるそうです。
ホテルにいながら、家の布団で寝ているような安心感も味わえる不思議な時間で、熟睡できました。
お部屋で休憩できたので、再び館内の散策に出発します!
3. ハーブガーデンや足湯でゆったり過ごす
ロビーから外に出ようとしたのですが、そこに何やら楽しそうなものが。
ヨガマット、ランタン、虫よけスプレー、麦わら帽子などが用意されています。よく見るとシャボン玉も!
これも、江田島そのものの自然を楽しんで、ゆっくり過ごしてもらいたいという江田島荘の想いだそうです。
お庭に出てみると、ありましたハーブガーデン!
ホテルの方に伺ったところ、品種を少しずつ増やしているそうです。
自分でお好みのものを摘んでお茶を楽しめるなんて、ものすごく贅沢ですね。これも地産地消のひとつでしょうか。
ハーブガーデンの隣には温泉の足湯も。
海を見ながらの足湯・・・贅沢なひと時です。
庭のかたわらには、別館の温泉があります。
江田島荘の温泉は、塩化物泉・硫酸塩泉の特徴を併せもつ日本でもここにしかない泉質だそうです。
日帰り温泉も実施されていて、地元の方にも人気なのだとか。
温泉のお湯はしょっぱい!
温度がそんなに高いわけではなさそうなのですが、入っているとじわじわ…ポカポカ…芯から温まりました。
湯あがり処で、バナナジュースをいただいてみました。これが、とても濃厚でおいしい!!
おなかいっぱいになるボリュームで、ジュースの上に添えられた庭のハーブもいい匂い♪
そして、このストローにご注目ください!
プラスチックじゃない・・・、でも紙製でもない・・・、謎の素材です。
これはなんと「サトウキビ」でできているそう!
時間が経ってもふやけることなく、かつ自然にも配慮した新素材のストローです。
こちらの空間は夜はバーになるそうです。
そろそろおなかがすいてきました。夕食に向かいましょう~!
4. 楽しみだった夕食で地元の食を味わう
レストランの名前は「locavore(ロカヴォーレ)」。
「local(地元)」と「vore(食動物)」からの新語で「地元で採れた食物を食べる」という意味だそうです。
江田島や広島の食材が出てくるんでしょうか‥楽しみです。
店内は、「紙布」の壁紙と照明で明るい空間になっています。
こちらの夕食は創作和フレンチコース。
メニューではなんと、使われる食材のみが書かれているだけ!
何が出てくるのか想像がつきません!!わくわく~!!
事前に伝えておけば、アレルギーや苦手な食材等にも柔軟に対応していただけるそうです。
コンソメで煮たお野菜を江田島のオリーブオイルで作ったバーニャカウダソースでいただきました。
実は私、野菜が少し苦手だったのですが、素材そのものの旨みや深みがぎゅっと詰まって感じられて、美味しく完食しました。
こちらは、鯛にケールのソースとパセリの素揚げ、鯛の下には長葱が隠れています。
四季ごとに各メニューが旬のものに変わるそうで、次回行ったらまた違うものがいただけると思うと、また来訪したい気持ちが大きくなりました。
さらに、印象に残ったのはオリーブオイルと、この真っ黒の粉。実はこれ、お塩なんです!温泉(塩泉)から作った塩に炭を混ぜたこのお塩、少量でもしっかりとした味で何に付けても合います。
オリーブオイルは近くの小豆島が有名ですが、江田島も負けていません。この「江田島絞り」はオリーブの本場イタリアのコンテストで世界一を獲得したエクストラバージンオイル。
江田島や瀬戸内の食材をふんだんに使ったお料理は、野菜も魚もお肉も美味しい・・・。
地域のものを、その地元で食べるって本当に幸せです。
デザートまでしっかり食べて、大満足です。
館内には、いたるところにこの様な手書きの案内が。
時間帯によって変えられているそうで、この時間には「星空観測」の情報が掲示されていました。
お庭に出るときに見たランタンを持ってお散歩できるそうです。
ほかにも、サイクリング(自転車貸し出し)、SUPヨガ、チャータークルージング、10月には江田島花火の鑑賞プランなど、今後もシーズンごとのイベントを検討されているそう。
館内だけで見どころがいっぱいの「江田島荘」。
満喫しまくったところで、本日はおやすみなさい。
5. お土産まで江田島を満喫♪
おはようございます!
朝食は「島のお母さんの朝ごはん」です。
瀬戸内海で採れたお魚の干物やだし巻き卵をいただきます。
これにつやつやの炊き立てご飯、ねぎが入っている器には鯛のあらのお味噌汁を入れていただいて、じっくり味わいました。
旅行先で食べる朝ごはんってどうしてこんなにおいしいんでしょうか‥!
お品書きも手書きで温かみを感じます。
この紙、よく見るとポツポツとカラフルな斑点があります。
実はこれ、「折り鶴再生紙」を使用しているためだそう。
広島平和記念公園に届くたくさんの折り鶴を、平和祈念の一活動として再活用するプロジェクトがあり、そこで生み出されたリサイクル商品です。
館内のお土産物売り場にも、「折り鶴再生紙」を使った扇子の販売がありました。
広島県ではこの紙を使用したポストカードや便箋など、エコでエシカルなグッズも多く販売されています。
その他にも、珍しい広島の工芸品がありそうなので、ゆっくり見てみてはいかがでしょうか。
こちらの江田島荘オリジナルのお箸は竹でできています。
竹は生育が早いので「エコ資材」と呼ばれていますが、一方で加工が大変難しいため、竹箸のメーカーは多くないそうです。
天然素材の竹の箸だけを製造している企業「ヤマチク」とのコラボで生まれたこのお箸は、昨日の夕食の際にも実際に使ってみましたが、口当たりが繊細で、食材がよりおいしく感じられました。
江田島のオリーブオイル、広島産のレモン、瀬戸内産の海藻を配合し、容器も環境に配慮した素材でできた商品や、昨日の夕食で感動した「えたじま温泉」から作ったお塩なども販売されています。
お土産まで全て、エコでエシカルな大満喫の2日間でした。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
このような「環境に配慮した旅」ができる場所を改めて知ることができ、エシカルを意識することで旅がもっと豊かに楽しいものになりました。
また、瀬戸内海は島々が並ぶ多島美のエリア。島たびで心も身体も癒すことができました。
皆さんも旅行の検討の際に、この様な「エシカル・ツーリズム」を意識してみるのはいかがでしょうか?
この記事は2022年11月11日時点の情報です
この記事を書いた人
いつもどたばたで大荷物
平井優里香
旅行をするときはまず現地の食べ物をリサーチしてイメージトレーニングをしています!
行き当たりばったりの行程も多いですが、
お目当てのお店や食べ物には絶対にたどり着きます!