ご挨拶

日本薬剤学会第29年会開催にあたって

この度、日本薬剤学会第29年会を2014年5月20日(火)〜22日(木)に、大宮ソニックシティビル(さいたま市大宮区)において開催することとなりました。

ジェームズ・ワトソンとフランシス・クリックがDNAの構造を提唱したのは1953年のことですが、それから半世紀にみられた分子生物学を始めとした生命科学の目覚ましい発展により、疾病を引き起こす様々な因子・要因が次々と解明され、その成果が病気の根本治療を可能にする新しい医薬品の創成にフィードバックされてきました。このなかで、前世期からはペプチド・タンパク医薬や抗体医薬が、また、最近では核酸医薬が脚光を浴びるようになりました。さらに、前世紀後半からは、コンピューター機能の飛躍的発展によりバイオインフォマティクスを用いた医薬品創製も進んできました。しかし、新医薬品開発数はそれに応じて伸びているわけではありません。これには、「薬」という化学物質を「医薬品」にするための「剤」の技術がさらに必要であることに関係しているように思います。本会は、ALZAを創設したアレハンドロ・ザファロニー博士のドラッグデリバリーシステムの考え方を深く理解した会員を多く抱える集団でもあります。そこで、本年会のメインテーマを「薬剤学研究が織りなすドラッグデリバリー技術とフォーミュレーションデザイン」とさせていただきました。医薬品開発や医療の現場で薬剤学や製剤学に求められていることは何か、またそれを実践するためには今後何が必要なのか、を徹底的に議論できる場となれば幸いです。

第29年会では、これまでの年会と同じく、口頭またはポスターによる研究発表、特別講演、各種受賞講演、各種シンポジウム、ラウンドテーブルセッション、ランチョンセミナー、公開市民講演会、企業展示会等、多種多様なプログラムを計画しております。特に、一昨年から始まったラウンドテーブルセッションは薬剤学・製剤学に関連した直近の問題や新しい研究テーマに関して、その分野の専門家、興味を持っている研究者間での情報交換、問題解決のためのより深い知識やサイエンスに関する討論の場を提供することを目的としたもので、その討論の中から、薬剤学の理論・技術を実際の創薬・創剤・臨床に活かす方法、現在の問題点を解決するための方策、今後の薬剤学の潮流となる新しい研究、が生まれるものと期待しております。

日本薬剤学会は公益社団法人に移行し、社会的にもますますその役割が重要となっております。今後、社会に貢献出来る学会づくりを目指してより一層の努力が必要となることは言うまでもありません。本年会がその端緒となるよう、多くの方々のご参加をお待ち致しますと共に、参加者の皆様の活発なご討論を期待しております。

日本薬剤学会第29年会
年会長   杉林 堅次

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