第29年会では以下2件の特別講演を予定しております。
特別講演1 (5月20日(火) 13:30〜14:30 Conference Room A)
「破骨細胞を標的とする薬剤のケミカルバイオロジー」
Chemical biology of the compounds targeting osteoclasts
- 演者
- 長田 裕之
Hiroyuki Osada - 所属
- (独)理化学研究所 環境資源科学研究センター
RIKEN Center for Sustainable Resource Science
長田先生 「破骨細胞へのターゲティングとケミカルバイオロジー」
ケミカルバイオロジーの目的の1つに化学的アプローチから生命現象を解明することがあります。分子生物学では、siRNAなどを用いて特定のタンパク質をノックダウンし生命現象を解析しますが、ケミカルバイオロジーでは、siRNAの代わりに小分子化合物を用いて生命現象を追究します。本特別講演では、ケミカルバイオロジーの旗手として活躍されている長田先生から、骨粗鬆症や癌の骨転移に関与する破骨細胞に作用する天然小分子化合物を例にして、特にリベロマイシンの骨粗しょう症モデルマウスや小細胞肺癌多臓器転移モデルマウスに対する効果について紹介していただきます。
特別講演2 (5月21日(水) 11:15〜12:15 Conference Room A)
「がん治療におけるactive とpassive targeting、基礎から臨床まで」
Active and passive targeting in oncological treatment-from bench to bedside
- 演者
- 松村 保広
Yasuhiro Matsumura - 所属
- 国立がん研究センター東病院 臨床開発センター 新薬開発分野
Division, Developmental Therapeutics, National Cancer Center Hospital East
松村先生 「がん治療と薬物ターゲティング」
がん化学療法では抗がん剤の標的部位への高いターゲティング効率がキーとなります。Passive targetingではEPR効果を利用した製剤がすでにいくつか承認されています。特に、東大片岡教授らが開発したタキソール内包ミセル製剤がすでに治験段階にあり、数年以内の承認が期待されます。一方、active targetingでは抗体・抗がん剤複合体(ADC)が再び脚光を浴びていますが、抗体の付加による活性低下が懸念されます。DDS研究に心血を注いでおられる医師である松村先生らは、がん間質関連分子に対する抗体を作製し、抗がん剤を間質でリリースさせるようなADCを作製されました。本特別講演では、この将来性、そしてpassiveとactive targeting のハイブリッド化の可能性について紹介いただきます。