ペット旅行に関するコラム ~通年編~
「知らなかった」では済まされない、ペットが関わる法律や条例
例えば、ペットを飼っている飼い主さんたちの中に、「ペットが関わる法律や条例」がどれだけあるのか、把握している方はどれほどいらっしゃるでしょうか。 そんな法律の中でもよく耳にするのが「狂犬病予防法」や「動物の愛護及び管理に関する法律」、「身体障害者補助犬法」ですね。
もちろん、各都道府県の条例を含めると、本当にたくさんの「知っておかなければならないこと」があります。
今回は身近なところからペットが関わる法律や条例を取り上げます。
「知らなかった」では済まされない、法律で接種が義務付けられている「狂犬病予防接種」。近年このワクチンの接種率低下が叫ばれています。
いまだに世界で流行している狂犬病は、効果的な治療法がなく、発症するとほぼ100%死亡する恐ろしい病気であり、ワクチンで防ぐしかありません。
病気や高齢によってワクチンへの負担が大きく接種を見合わせることもありますが、これも飼い主の自己判断ではなく、獣医師がきちんと診断した上で、判断することです。
また、狂犬病予防接種を打たせない方の中には、海外の事例を持ち出す方もいます。
しかし、国によって狂犬病を媒介する動物種に違いがあること、検疫の制度や、発生したときの徹底した対応、飼い主のモラルなど、日本とは違う状況が様々にあります。
海外ではワクチン接種は義務ではない、禁止されている!というのは簡単ですが、では実際に狂犬病が発生したときにどのような対応をするのかまで知っているのでしょうか。自分に都合のよい情報だけに踊らされるのではなく、なぜそのようになっているのか、一旦発生した時にはどのような処置がとられるのかまでしっかり理解することが大切です。
ちなみに、狂犬病予防接種を打たせていない場合、罰則として数十万円の罰金が科せられることがあります。
改定される法律に敏感になりましょう。
2019年、動物の愛護及び管理に関する法律が改定され、生体を販売する場合の年齢制限や、マイクロチップ装着の義務化などが組み込まれました。ニュースでも取り上げられましたので、ご存知の方もいらっしゃるかと思います。身近にいる犬猫たちに大いに関わる法律ですから、注目度も高いと言えます。
しかし、近年ペットとしても人気の高いカワウソに関する規制についてはどうでしょうか?
環境省は2019年8月27日、絶滅が危ぶまれるコツメカワウソとビロードカワウソについて、国内での取引を規制する方針を固めた、と報じられました。これは、ジュネーブで開催されたワシントン条約締約国会議で、国際取引を原則禁止とする見通しとなったことを受けた措置で、種の保存法の政令を改正し、国際希少野生動植物種に指定されました。
そもそも、コツメカワウソは動物番組で取り上げられたことがきっかけで日本で人気が過熱、カワウソと触れ合えるカフェが各地に開店し、ペットショップでは高額で取引されることもあります。それにともなって、生息地の東南アジアでは日本向けに密輸を図り、摘発・逮捕される例が相次いでいて、今回の会議でも、野生種の日本への密輸が特に問題視されたとのこと。
環境省は、今後、変更内容の周知徹底を進めていくといっていますが、身近にコツメカワウソなどを飼ってらっしゃる方がいる場合には「こうなるらしいけど、知ってる?」と伝えることも重要。
このように、身近にいる動物が関わる法律を知ることも、飼い主としては大切なことです。
ペットの車酔い対策
旅行にペットを連れていく際、ペットが車酔いで体調不良になってしまうと、せっかくの旅行も楽しめません。また、一度車酔いをしてしますと、その後車でのお出かけを嫌がるようになってしまうこともあります。ペットが車酔いしないように、車好きになってもらえるように、環境づくりをしてあげてください。今回は、一緒に楽しく車でおでかけするための7つのポイントをお話します。
1.最初は5~10分のドライブから
最初は短時間のドライブで練習し、少しずつ距離を伸ばして車に慣れさせましょう。
いざ、長距離ドライブに出かけたら、多めに1~2時間に1度は休憩をとるようにしましょう。新鮮な空気に触れることで、ペットも運転手もリフレッシュできて、気分良く過ごせますね!
目的地に着いたらおやつを与えたり、散歩をさせたりと、犬にとっての「楽しいこと」を用意しておくと「車に乗る=いいことがある」と思うようになります!
2.食事は乗車30分~1時間前に済ませる
大人も子供も同様ですが、お腹いっぱいで車の後部座席に座ると、揺れにより気分が悪くなります。出発前に余裕をもって食事を済ませ、サービスエリアやお店で休憩する時は食事後30分ほど経ってからドライブに戻りましょう。ただし、車の中は乾燥し、ペットも緊張状態が続いて喉が渇くので、水分は適度に与えましょう。
もしも、ペットが吐いてしまっても叱らないであげてください。消毒用アルコールなど準備しておきましょう。また、動物病院で吐き気止めを処方してもらうのも一つの手段です。
3.普段使いのおもちゃ、食器などは必需品
旅行だからと新しいものを用意すると、混乱させてしまう場合があるので注意が必要です。普段使っているタオルケットや毛布、いつも遊んでいるおもちゃなどを傍に置くなど、ペットにとって「安心が出来る場所」を確保してあげましょう。食器やフードも普段のものを旅行日数分、準備して出かけてください。
4.車中の匂いに気をつけて
ペットたちは匂いに敏感なので、排気ガス、食べ物、芳香剤の匂いなどで車酔いをしてしまう場合もあります。車の中は芳香剤などを置かず、車の中の匂いに気を配りましょう。車中でのおやつも楽しみのひとつですが、ペットが同乗している時は控えるようにしてあげてください。
5.走行中はケージやキャリーバッグが指定席
揺れや振動の影響を受けにくくする為に、車に乗っている間はキャリーバッグやクレートに入るように訓練しておくことも必要です。万が一の事故の時も、クレートやキャリーバッグがペットを守ってくれます。
6.停車したら、まず車内でリードを着ける
急にペットが飛び出してしまう場合がありますので、車のドアを開ける前に必ずリードをつけておきましょう。ペットを車内に置き去りにすると、夏場は熱中症、冬場でも脱水症になる危険がありますので避けましょう。車内で待たせる場合は、必ず誰かが付き添ってあげましょう。
7.万が一に備えて
万が一はぐれた時にすぐ連絡してもらえるよう、迷子札に飼い主さんの携帯電話の番号を書いておきましょう。また、急な体調変化を相談できるよう、かかりつけの病院の連絡先を控えておきましょう。目的地や通過地点にある、24時間対応または休日対応可の動物病院なども調べておくと、より安心です。
旅先でも取り入れたいマッサージやアロマ!
旅先でのアロマやマッサージ
愛犬との旅行はとても楽しいことですが、慣れない旅行先のお部屋では、愛犬の緊張がなかなかほぐれずに落ちつかない場合もあります。早めにお宿について夜までにお部屋で落ち着く場所を探させてあげるのはもちろんですが、マッサージやアロマを取り入れて早めにリラックスさせてあげましょう!
旅先でマッサージやアロマを取り入れる前に
マッサージやアロマを行った時の反応はその子によってさまざまです。日頃からマッサージ等を愛犬とのスキンシップに取り入れ、慣れさせておくことが大切。また、日頃からマッサージやアロマを行うときによく使うタオルやブランケットを用意しておきましょう。使い慣れたものを旅先に持っていく事で愛犬もリラックスできることでしょう。
マッサージやアロマの利点
マッサージにより筋肉のコリやハリがとれるのと同時に、飼い主さんとの信頼関係も深まります。また、血行が良くなり体の動きを滑らかにするので、毛並み・毛艶が良くなり、ケガの予防にもつながります。アロマは人間の1億倍ともいわれる犬の嗅覚に植物の持つ自然の癒しの力で働きかけ、ストレス緩和、免疫力アップなどの効果をもたらします。
マッサージやアロマを行う前に気をつけること
持病がある場合、妊娠中・発情中は獣医師に相談してください。
出血、発熱がある場合や食事の前後、愛犬が嫌がったり飼い主さんが心身ともに疲れているときに行うのは避けましょう。
犬の嗅覚はきわめて強力で鋭いため、精油の希釈が絶対に必要ですのでご注意ください。
体質によって精油の成分が合わない場合もありますので、10倍以上に希釈して手のひらにのばし犬に嗅がせ、香りを嫌がらないか様子をみてください。
嫌がったり異常があった場合はすぐに中止してください。
旅先でおすすめのマッサージ
マッサージには、「なでる」「もむ」「指先で円を描く」「皮膚を引っ張る」などのテクニックがあります。旅先ではリラックス効果が高いとされている「なでる」マッサージがおすすめです。
【愛犬とリラックスする「なでる」マッサージのやり方】
なでる
まず最初に深呼吸をして飼い主さん自身がリラックスしましょう。
マッサージをしているときは出来るかぎりゆったりとした呼吸を心がけます。
始める前に落ち着いた声で「マッサージをはじめるね。」と声をかけましょう。家でマッサージするときは「マッサージをしてもいい?」とマッサージを今してもよいかどうかを愛犬に聞くという意味合いもあります。
愛犬の頭に優しく手のひらをのせ、愛犬の体温を感じながら出来るかぎり一定のリズムで、頭、首、背中とやさしく手を動かします。
【愛犬を落ち着かせる首・肩を「もむ」マッサージのやり方】
もむ
1.「なでる」マッサージで気持ち良さそうにしている事を確認します。
2.首の付け根から肩まで両手を使って、やや筋肉を圧搾するくらいの力加減で2秒に1回の静かなゆっくりとしたリズムで行います。
【マッサージのグッドサイン】
マッサージのグッドサイン
マッサージをされて気持ちがいいと、つぎのような反応がみられます。
口をくちゃくちゃする
あくびをする
ため息をつく
目がトローンと細くなりり、しばしばさせる
力が抜ける
眠ってしまう
【マッサージのバッドサイン】
マッサージを受ける気分ではなかったり、力が強すぎるときにはつぎのような反応がみられます。
振り返って、マッサージしているところに顔をもっていく
声をあげる
体の向きを変える
その場を離れる
旅先でおススメのアロマ
※宿泊先によりお部屋でのアロマ利用はNGの場合もありますので、宿泊先のルールに従ってください。
《リラックス効果があるおススメのアロマ》エッセンシャルオイルとハーブ
リラックス:ラベンダー/マジョラム/カモミールローマン/オレンジ/ネロリ
分離不安・怖がり:ネロリ/プチグレン/イランイラン
疲労感の軽減:ローズマリー/オレンジ/イランイラン
※上記以外にも好きな精油でもOKです。
※犬に対して毒性があるアロマもありますので注意が必要です。柑橘系の精油は皮膚に塗ったあとに紫外線を浴びると皮膚の炎症を起こしたり、シミになる可能性があります(光毒性)。また、持病により使用できないアロマもあります。
てんかん:ジュニパー/ユーカリ/ローズマリー
高血圧:ユーカリ/ローズマリー
皮膚刺激:ゼラニウム/ティートリー/ヒノキ/ペパーミント/レモングラス など
妊娠期:カモミール(ローマン、ジャーマン)/ヒノキ/ペパーミント/ラベンダー/ローズ/ローズマリー など
旅先でのアロマの取り入れ方
■日常使いのタオルやブランケットで
日常からアロマを取り入れている場合は、日頃使い慣れているタオルやブランケットに普段好む香りをつけておき、車中や宿泊先で使用するだけでもリラックスする事が期待できます。
■吸入
宿で熱めのお湯が用意できる場合は、洗面器にお湯を入れて精油を1〜2滴落としたものにタオルを浸して絞り、ケージや愛犬の近くに掛けておく事で香りを吸い込む事ができます。
■アロマを利用したブローケア
ブラッシング愛犬が温泉等に入って全身を洗いブローした後、精油を入れたコンディショニングスプレーを被毛に吹きかけてブラッシングします。ブラシの通りを良くするだけでなく、毛並みをよりサラサラに整え、肌も健康に保つ事ができます。ブロー以外でも日常のブラッシングの際にも使える便利なスプレーです。
【コート&スキンコンディショニングスプレーレシピ】
精油10滴前後(0.5%濃度)
ハーブウォーター20ml
グリセリン1ml
精製水80ml
重曹1つまみ
《おススメの精油/ハーブウォーター》
被毛の乾燥:(精油)ゼラニウム/パルマローザなど、(ハーブウォーター)ローズ/ラベンダー/カモミール(ローマン、ジャーマン)など
育毛効果:(精油)オレンジ/レモンなど、(ハーブウォーター)ペパーミント/ローズマリーなど
フケが多い:(精油)ティートリー/ユーカリ/ゼラニウムなど、(ハーブウォーター)ティートリー/クロモジなど
※精油とハーブウォーターは愛犬が好むもの、肌タイプにあうものをお使いください。
愛犬の心身をまるごとケア
アロママッサージイメージ
人と同じように、動物たちもストレスや環境の変化により心身の不調に陥ります。マッサージやアロマセラピーは動物が何を必要としているか見極め、彼らの心と身体を知るための癒しのコミュニケーションツール。目的・お悩み・好みに応じて香り(精油)を使い分け、マッサージで触れ合うことで、愛犬の健康管理・免疫力UPに役立てられます。獣医さん頼りではなく自身で愛犬の心身を日頃からケアしてあげましょう。
犬の5大予防について
犬と一緒に泊まれるホテル・宿が増えています。せっかくの楽しい旅行、トラブルに巻き込まれないように事前準備をしっかりしましょう。
ドッグランや宿泊先では、普段触れ合わない犬とも接することが多くなります。その際に病気をもらわないよう、しっかりとした予防措置が重要です。様々なウイルス、虫、病気からしっかり愛犬を守るために、今回は特に外せない犬の5大予防についてお話します。
【犬の5大予防】
狂犬病予防接種
日本では「狂犬病予防法」という法律で、生後90日以降の犬には狂犬病ワクチンの接種が義務づけられています。毎年1回注射をして市や町に登録しなければなりません。そして交付された鑑札・注射済票を必ず犬に付けておかなければなりません。
混合ワクチン接種
狂犬病ワクチンとは異なり、任意接種となります。年に1回、継続して注射をしていきます。ジステンパーやパルボウイルス感染症など、犬同士で感染が頻繁に見られる疾患を予防できます。また、ドッグランや宿泊先によっては、接種を義務としているところが多いです。
フィラリア予防
フィラリアとは、蚊が媒介する寄生虫です。この虫は「そうめん状」の形状をしており、血液中や心臓に寄生します。心臓が苦しくなったり、咳をしたり、お腹に水がたまったり(腹水)などの症状があります。毎月1回、薬を服用することで予防でき、内服薬の他にも、注射や首のところに滴下する薬もあります。時期は、蚊の発生と密接に関わるため、住んでいる場所にもよりますが、4月から12月までは予防します。
ノミ・マダニの予防
散歩中に草むらに入ると、ダニが犬の体にくっつくことがあります。また、野良猫が常駐している場所などは、ノミが発生していることがあります。ノミやダニは、皮膚に付着し血液を吸います。そのため、刺された部位が痒くなったり、精神的に不快になったり、貧血になってしまいます。犬猫だけでなく、飼い主さんも刺されてしまいます。予防としては、首のところに滴下する薬があり、ほかにも内服する薬や昔からあるノミ取り首輪もあります。月に1回、一年中予防します。
腸内寄生虫の駆除
犬は、毎日の散歩で様々な刺激を取り入れています。そのため興味深々に、なんでもクンクン嗅ぎまわったり、時にはペロッと舐めたり、口に入れたりします。そのときに、お腹の中に寄生する虫が入ってしまうこともあります。腸内寄生虫がお腹にいると、子犬の成長に支障が出たり、よく食べるのに痩せてきたり、ずっとお腹を壊したりします。そのような症状が見られ腸内寄生虫の存在が疑われる時には、検便をして虫卵を発見し駆虫薬を服用します。年に3~4回の検査と駆除をお勧めいたします。
病気は、かかってしまった後の治療よりも、かからないための予防が大切です。今年も愛犬が健康に過ごせるように、まずは予防から始めていきましょう!
犬嫌いの人たちが、飼い主たちにいいたいこと
わんちゃんたちと出歩ける場所や施設が昔に比べて増えていますね。一緒にお出かけできるのは楽しいものですが、出かけた先には色々な人たちがいて、その中には犬の事が嫌いな人も・・・今回は、「犬嫌いの人たちが、飼い主たちにいいたいこと」をお話します。
『外で排泄させたら、糞は持ち帰る、尿は洗い流す』
糞は持ち帰る人が多くなって来ましたが、尿はどうでしょうか?
ペットボトルで水をかけている、という人もいるかと思いますが、それは、「尿を薄めて広げている」にすぎません。
もし自宅の玄関先や、きれいにしている花壇や庭などで、よそのわんちゃんに排泄されたらどう思うでしょう。
一番良いのは排泄は室内で行い、外では行わせないこと。
あるいは、外であってもおむつを付けたりシーツなどで吸いとってから水を流すことなどで、ある程度尿を吸収し、拡散させない配慮ができます。
中には、「”うちの子はペットじゃない、家族なの!”と言うなら、家族に外で排泄させるのはおかしいのでは?」という意見もあります。そう言われれば、と思わず納得しますね。
『ノーリードなんてもってのほか、リードは短く持ってほしい』
ノーリードでお散歩する人は、だいぶ少なくなりました。
しかし、伸縮性のリードでお散歩させている飼い主さんや、伸びないもののリードの長さいっぱいにわんちゃんを自由に歩かせている飼い主さんが非常に多いです。
これは、わんちゃんを危険にさらす非常に危ない行為です。
多くの人が行き交う歩道、路地から出てくる車、歩道を疾走する自転車など、わんちゃんたちの目線になると、私たちが思っている以上に危険が多くあります。飛び出してきたり、急に進路を変更したわんちゃんを避けようとしてケガをしてしまったという話もあります。
お散歩を楽しむことは必要なことですが、リードを短めにしっかり持ち、常に周囲に気を配りながら歩くようにしましょう。
他にも、
飛びかかられて困っているのに飼い主は「うちの子は人が大好きだから」と笑って止めようともしない
吠える声はうるさいが、「吠えないの!」という声もうるさい
など、犬が苦手な人、飼っていない人からの飼い主への苦情は非常に切実で、深刻なものがたくさんありました。
私たち飼い主からしてみると、耳が痛いことも、そんなことまで?と思うことももちろんあります。しかし「好きだからこそ気がつかないこと」に気付かせてくれるのは有り難いことです。
こうした意見を真摯に受け止め、私たちが改善していくことで、お互いの理解に繋がるのではないでしょうか。
移動や災害時にも役立つクレートトレーニング
旅行をはじめ、お出かけを安全に移動するために役立つクレートトレーニングについてお話します。クレートトレーニングは、災害などの緊急時にも身に付けておく必要があります。
クレートに慣れる必要性
クレートはわんちゃんの心身を守る大事なものです。サイズも素材もさまざまな種類があります。一つに絞るのではなく、用途によって日頃から使い分けをして、どのタイプのクレートであっても「クレート=安心できる場所」と認識できるようにしていきましょう。これは、災害の避難時に飼い主と離れた場所で過ごさないといけなくなった場合を想定しても、大切な防災準備です。
クレートに入ることができない、入るけど大人しくしていられない、というわんちゃんはまずはクレートに慣れるトレーニングをしておく必要があります。(トレーニング方法は後述します)
クレートの使い分け
●移動時はハードタイプ
旅行などの移動に関しては、公共の交通機関を利用するのか、自家用車で移動するのかによっても状況は異なりますが、しっかりとした造りのハードタイプのクレート(ハウス)を利用したほうが安全です。
また、自家用車では、助手席に乗っている飼い主さんが抱っこしている風景を見かけますが、万が一事故に遭った場合、わんちゃんはシートベルトをしていないので、車外へ投げ出されてしまう危険性があります。しっかり抱っこしているつもりでも、事故の衝撃は計り知れません。
現在、シートベルトで固定できる車専用のハウスも販売されています。そうしたものを利用して、安全な移動を心がけましょう。
なお、車酔いなどをしてしまうわんちゃんは、乗車前に食事は避け、クレートに入れたうえで、上からタオル等をかけ、外が見えないように配慮してあげると、車酔いが軽減されることがあります。
それでも車酔いしてしまう場合は、動物病院へ相談し酔い止めを処方してもらったり、アロマ等を利用するのもいいでしょう。
●散歩やお出かけ、避難時にはソフトタイプ
このタイプは肩から提げるものがほとんどで、カバンタイプのものやスリングタイプ、リュックタイプなどさまざまあります。
まだお散歩の時期ではない仔犬や、逆に老犬になって散歩がきつくなってきたわんちゃんを外へ連れ出すときに重宝するでしょう。災害の避難時には両手を空けておくことが重要になりますので、このタイプが良いでしょう。わんちゃんの身体の大きさなどに合わせて用意しましょう。
(避難所で過ごすことを想定して、折りたためるタイプのクレートも用意しておきましょう)
クレートトレーニングの方法
まずは、クレートの中にお気に入りの毛布や敷物などを敷いてあげます。そして、自分から入るかどうか様子を見ます。
恐る恐るでも入っていける場合には、その中でご飯やおやつ等をあげてください。
「絶対にいや!!」というような場合には、まずはわんちゃんの大好きなおやつなどをクレートに入れ、扉を閉めます。そして、扉の外側からクレートの中を覗かせて、大好きなものに気付かせます。大好きなものを欲しがって扉を引っかくようであれば、少し焦らした後で扉を開けると、「待ってました!」と言わんばかりに、入っていく可能性があります。
どちらの場合でも、入ってすぐに扉を閉めないように気をつけてください。扉を閉めるのは、わんちゃんがクレートを安心できる場所だと認識し、落ち着けるようになってからにしましょう。
クレートのトレーニング方法も様々あり、一概にどれが良いとは言い切れません。わんちゃんに合った方法を見つけ、無理せずにトレーニングをしていきましょう。
ペット旅行に関するコラム ~春編~
ペットの花粉症
春の訪れとともにやってくる「花粉」の時期になりました。人も辛い「花粉症」。今回はペットの花粉症のお話です。
ペットの花粉症の症状
近年では、犬や猫の花粉症が急増していると言われています。犬や猫の花粉症は人とは違い、肌から花粉を吸収し、身体をかゆがったり、目をショボつかせたりする事が多く、主に皮膚に疾患が出る事が多いです。人間と同じようにくしゃみ・鼻水の症状もみられます。
なかなかペットが花粉症になっているとは思わず、動物病院に連れてきて、花粉症と知る飼い主さんも多いです。いつもと体調・様子が違うと気付いたら、まずは動物病院で診察してもらうことが大事です。
花粉症予防策
ワンちゃんには、マスクではなく、洋服が必要です。被毛に花粉が付着するのを防ぎます。花粉を落としやすいよう耐久撥水性のあるツルツルした生地で作られた服や、花粉が付きにくいよう静電気をなるべく抑えられる素材で作られた服など、最近は様々な花粉症予防のための洋服があります。静電気の発生を抑制し、花粉の付着をガードするスプレーもありますね。
花粉の飛散が多い時間帯を避けてお散歩するのも、予防対策の一つです。安定した気象条件下では、早朝から午前中に飛散量は増え、夕方から落ち着くと言われています。これからの季節のお散歩は、早朝または夕方以降が良いでしょう。
お散歩から帰宅したら、玄関に入る前に飼い主もワンちゃんも上着・洋服を脱ぐのが理想的です。室内にいつもいる猫ちゃんも、飼い主が外から持ち込む花粉でアレルギーを起こす場合があります。家の中に花粉を持ち込まないことが症状を悪化させない対策です。
花粉は空気より重いので床に溜まります。ペットは人間より床に近い所に鼻があり、床に落ちた花粉を吸い込みやすいので、こまめに掃除することが大切です。
ワクチン接種の注意事項
さて、この時期になると届き始めるのが狂犬病予防接種の通知。もう、お済みですか?
毎年、必ず行なわなくてはならない狂犬病の予防接種。これは、動物を飼養するなら当たり前に行なわなくてはいけないものです。このほか、混合ワクチンも春先に接種する方が多いですね。
近年では、旅行先のドッグランや宿泊施設などでは、利用の際にワクチン接種を義務化している施設も多いです。
では、一体ワクチンとはなんなのでしょうか?
病気を予防してくれるワクチンですが、実は副作用もあります。そして、接種前後に気をつける事など、今回はそんな予防接種の注意点をご紹介します。
ワクチンとは?なんで打つの?
「ワクチン接種」とは言っていますが、ワクチンとは一体なんなのでしょう。
体の中に病気の抗体をつくるには、まずその病気の原因となるものを身体に入れる必要があります。一度、病気の原因となるものを身体に取り込むことで抗体免役が作られます。
ワクチンとはこの病気の原因となるものを、発病しないくらいに弱くし接種すること。そして体の中で抗体を作らせます。これが、ワクチン接種の仕組みです。
ワクチン接種を行なう前に…
ワクチンを打つ際は必ず、体調の良い日を選びましょう。
ただでさえ、異物を身体に入れるのですから犬にも負担はかかります。
犬に体調不良の徴候が見られた際には、別の日に受けるようにしましょう。
例えば、いつもと比べて元気がない、お散歩のときの様子が違った、少し熱い気がするなど、気になることがあればとにかく動物病院に相談すること!
「多分大丈夫だろう」では守れる命も守れません。
また、シニア犬に関しては必ずかかりつけの獣医師に相談しましょう。
ワクチン接種の副作用
身体に異物を入れるわけですから、もちろん副作用が出る場合もあります。
接種後は、いつも以上に愛犬の体調変化に気をつけてあげましょう。
副作用は、早い場合は接種から一時間後に出る場合や、半日以上後に出るものもありますので、少なくとも1日、2日は犬の様子を見ながら静かに過ごさせるようにしましょう。
接種した日から、数日は犬にとってストレスになる事は禁止です。
シャンプーやトリミング、長時間の移動、慣れていない場所に出かける、興奮しやすい場所、例えばドッグランなどに出かけるなども厳禁です。
短時間のお散歩は大丈夫ですが、興奮しやすい子は注射を受けた日は控えると良いでしょう。
翌日以降は愛犬の体調を見て判断して下さい。
一言で副作用と言っても目に見えないものもあります。
少しでも様子が違う場合はご自分で判断せずかかりつけの動物病院へ連絡しましょう。
そして、「いつもと違う」に気付くためにはまずなにより、愛犬の健康な状態を把握しておく必要があります。
ペット旅行に関するコラム ~夏編~
愛犬と海のレジャーを楽しむための注意点
暑さも真っ盛りのこの時期は、海や川、山でのレジャーが盛り上がってくる季節です。
中には、愛犬を連れて海のレジャーを楽しむ方も多いのでは??
しかし、海について、皆さんはどれだけ知っていますか?
守らなければいけないルールや犬への危険性などを把握して、レジャーを目いっぱい楽しみましょう!!
海水浴場では「ペット禁止」の場所も多い、たくさんの人があつまる海水浴場。その場に留まる人もいれば、動く人もいて想像以上に混雑しています。
さらに、海に来ている、という高揚感も手伝って周囲を確認することを怠りがち。
そんな中で、人の視界よりはるかに下にいる犬の存在は、街中を歩くよりもさらに人の目に入ってきません。
他の人に踏まれたり蹴られたりといった事故が発生しやすい場所でもあります。
また、砂浜でのうんちやおしっこなどの問題もあるでしょう。海水浴場では、犬やその他のペット禁止としているところも意外に多いです。
一番いいのはその海水浴場の管理事務所に連絡し、確認すること。砂浜を散歩するくらいならいいが、海には入れない、散歩することすら禁止、といったことがあるかも知れませんから、事前にしっかりと確認をしましょう。
砂浜は危険がいっぱい。
皆さんも経験があるかもしれませんが、夏場の砂浜を素足で歩くのはちょっとした拷問です。表面温度が60℃近くになることもあるとか。そんな中を、海に入るまでとはいっても歩かせると、足裏を火傷しかねません。
また、直射日光や砂浜の照り返しによる熱中症も心配です。人が海に入って気持ちいいと思える気温は犬たちにとって暑すぎます。犬たちと思いっきり海を楽しみたいなら、人には少し肌寒いくらいでないと難しいのが現実です。
また、砂浜には貝殻をはじめとして、色々ゴミが落ちているものです。流れ着いたゴミ、浜辺でバーベキューをして、ゴミをそのまま放置して帰るという非常識な話を聞くこともありますよね。そうしたもので足をケガする、誤飲することなどが考えられます。
海水が危険なこともある。
そもそも海水が犬の身体に悪影響を及ぼすことがあります。海水の塩分による嘔吐、下痢、それが引き起こす脱水症状をはじめとして、重度の脳障害や心臓、腎臓へのダメージ、大量の水分を摂取することによる水中毒の可能性もあります。
海に入ったあとですぐに体調不良などの症状がみられ、数時間後に回復、しかし、数日経つと愛犬がぐったりして呼んでも反応しないといった症状が見られた時には、すでに手遅れだった、という話もあります。
また、塩分(ナトリウム)による影響が危険とされる心臓疾患などは、少しの塩分ですら病気の進行を早めたり発作を起こしてしまうので、疾患を患っている犬は海水浴に連れていく事はあきらめましょう。
ほかにも海で溺れる、危険な海洋生物などあげればキリがありません。海を楽しむためには海の危険を知り、安全に楽しく遊べるように工夫をしましょう。
夏の風物詩「花火」の大きな音にご注意
日本全国で開催される花火大会。大輪の花火を見て夏を楽しむ方も多いでしょう。しかし、一緒にいるワンちゃんは実は楽しめていないかも。今回は、犬の聴覚と大きな音についての注意について、お話します。
犬の聴覚
犬の聴覚は、嗅覚に次いで鋭く、その感度は人間の約6倍といわれています。物体が落下する音などは、犬は人間の限界の400倍の距離でも聞き取れるといわれています。
犬はどの方向で音がしたかを聞き分ける能力も抜群で、人間が16方向しか判別できないのに対して、犬は32方向です。それは、耳を動かす筋肉が大変発達していて、前後左右に向きを変えられるからで、もちろん立ち耳のほうが、垂れ耳よりも感度はすぐれています。そのため、眠っていた犬が家の人の帰ってくる遠い足音をいち早く聞きつけて玄関へとんでいくことができるのです。
大きな音への注意と対処
夏の風物詩「花火」はとても楽しみなイベントですが、大きな音に驚くワンちゃんも多いので気を付けましょう。驚いて、パニックになったり、ストレスでお腹を壊したりする子もいます。中には、驚いたワンちゃんが家を飛び出し、道路を逃げ回って大怪我をした事例もあります。ワンちゃんにストレスを与えないように、飼い主がケアしてあげましょう。
大きな音への反応を確認する
花火に限らず、雷や車のクラクション音など、突然鳴り響く大きな音に対してワンちゃんがどのような反応をしているかを確認しましょう。大きな音を過剰に怖がる場合は、できるだけその音から離してあげる必要があります。ワンちゃんは怖くてたまらないのです。飼い主がそれを理解して守ってあげましょう。
音を遮る
ワンちゃんにお留守番をお願いするときは、窓をしっかりと締め切り、音楽やテレビの音を流したままにしてあげましょう。外からの大きな音が聞こえにくくなり、ワンちゃんも安心します。
昆虫などの小さな動物たちにも注意しましょう
7月から8月はレジャーの季節ですね。夏休みにはペットとともに山や海にお出かけする方も多いかと思います。
しかし、夏は昆虫や爬虫類なども活発になる季節でもあります。好奇心旺盛な犬や猫がついちょっかいを出して、かまれたり刺されたりすることも。今回は、これらの小さな動物に起因する症状についてお話します。
ヘビ
ヘビにかまれた場合は、まずヘビを引き離して傷口を止血しましょう。その後、痛みが引かずひどく腫れ始めた場合は毒ヘビであった可能性があります。四肢ではなく胴や頭をかまれた場合は特に注意が必要です。
ヘビの種類によっては生死に関わりますので、急いで動物病院に連れて行きましょう。
カエル
日本に多く生息しているヒキガエルは、全身から強力な毒液がにじみ出ています。これらを口にしてしまうと頭を振って嫌がったり、嘔吐が止まらなくなったり、最悪の場合、心不全などで死に至ることもあります。
カエルには触らせないように注意し、もし口にしてしまったら大量の水で洗い流してから、動物病院に向かいましょう。
ハチ
ミツバチやクマバチ、スズメバチといったハチは強い毒を持っています。刺されると腫れと痛みがありますが、通常24時間ほどで腫れは引いていきます。しかし、アナフィラキシーショック(急性のアレルギー反応)を起こす場合もありますので注意が必要です。患部を冷やすと症状が軽くなります。刺されていた場合、体調が急変する可能性があるので、まずは動物病院へ連れて行きましょう。
ムカデ
ムカデは攻撃的なため、触ろうとするとすぐかまれてしまいます。かまれると腫れて激しい痛みを伴いますが、全身に症状がでることはほとんどありません。様子を見て、痛みが引かない様子なら獣医師に相談しましょう。
ペット旅行に関するコラム ~秋編~
ペットの災害対策
秋は台風など災害が非常に多い時期です。
皆様は、ペットと共に避難する準備はできていますか?
今回は、ペットと防災についてお話します。
防災の日について
1923年9月1日に発生した関東大震災にちなみ、9月1日は「防災の日」と定められています。特にこの前後の一週間は防災週間として日本各地で様々なイベントが催されます。
日頃忘れがちな防災準備。皆さんもぜひこの機会に、ご自宅の防災準備を見直してみてください。
災害とペットの問題
2011年の東日本大震災では、ペットを飼っている方も多数被災しました。命は助かっても、脱走したり、飼い主とはぐれたりして野生化するペットが多数いたことが確認されています。
また、避難の際に連れて行くことができないために自宅に残したり、意図的に逃がしたりした飼い主も多くいました。各自治体でも実態を把握するのが難しく、保護を十分に行うことができませんでした。
この混乱を反省し、環境省は2013年にペットと共に避難することを推奨するガイドラインを策定しました。飼い主には、ペット同行避難に必要な準備を日頃からしておくように求めています。
日頃の防災準備
ペットのためのフードや水、薬を一週間分は用意しておきましょう。飼い主の連絡先やペットの持病などが分かる身元証明書類を作っておくのも大切なことです。
日頃のしつけやワクチン接種も防災準備の1つです。被災時には地域の人たちと協力して災害を乗り越えていく必要があります。ペットを飼ってない方々にも迷惑をかけないように、飼い主として準備を怠らないようにしましょう。
ペットの夏バテに効くツボを学ぼう
残暑厳しい今日この頃、「夏バテ」を起こしていませんか?
特に、涼しい日が数日続いた後に猛暑日などを迎えると、一気に疲れ倍増!もちろん、夏バテは人だけではなく犬や猫にも起こりえます。
そこで、「ちょっとこの頃お疲れかな?」「もしかして、食欲落ちてるかも?」というときに、簡単な「ツボマッサージ」をしてあげてはいかがでしょう?
犬や猫にとって、飼い主からのスキンシップは何よりも嬉しいもの。そこに、ツボを刺激して疲労回復や胃腸を整える効果をプラスすることができたら一石二鳥ですよね!!
今回は、犬や猫にも効果のあるツボについてお話しします。
こんな様子が見られたら夏バテかも知れません
夏バテすると犬も人間と同じようにだるさ、食欲不振、胃腸の不調といった症状が出てきます。散歩に積極的じゃない、食事を食べない、ゆるい便や便秘が続く、といった症状があったら夏バテかもしれません。
疲労回復に「湧泉(ゆうせん)」
後肢の一番大きい肉球のすぐ後ろのくぼみを、親指でじわ~っと左右交互に2、3回押してみてください。
胃腸を整える「中脘(ちゅうかん)」
みぞおちと臍の間の真ん中くらいにあります。少し食欲ないかも?というときに、ツボのあたりを指2本くらいで、くるくる時計回りに円マッサージしてみましょう。
気の流れを整えて、体にこもった熱を流します「曲池(きょくち)」
肘を曲げてしわが寄ったところの外側です。わかりにくいときは、肘の骨の手前のくぼみを探してみてください。左右交互に2、3回押してあげましょう。
気の流れをよくする「井穴(せいけつ)」
爪の根元の左右の部分です。シニア期の犬や猫にも効果があります。親指と人差し指で爪の根元をつまんでかる~くもみもみしてあげましょう。
ご紹介したツボは、犬にも猫にも効果があります。ただし、実際にマッサージするときには、「軽く押す」ことが重要!力を入れると嫌がってしまうので要注意です。
また、やりすぎもよくありません。ツボを刺激するのは1回について2、3回、それを1日2回行えば十分です。
ペット旅行に関するコラム ~冬編~
冬はこまめな肉球ケアを
冬の犬のケアについてお話しいたします。
犬は寒さに強いと言われていますが、例えば素足での雪道のお散歩はどうでしょう。今回は、ペットたちの身体を支える肉球とケアについてお話します。
肉球は万能な靴の役割
人間はかかとを地面につけて歩きますが、犬はかかとを浮かせて歩く趾行性(しこうせい)の動物です。つまり、犬は歩いている時は人間でいう「つまさき立ち」になっていて、全体重をつま先で支えている状態です。
足裏の肉球は、衝撃を吸収して足の骨や関節を地面の衝撃から守っています。また、滑りやすい場所や坂道でブレーキの役割も果たします。
また、肉球は感覚器官としても機能しているので、犬は地面のタイプを区別したり様々な情報を肉球から感じ取っています。外で飼われていたり、砂利道をよく歩く犬の肉球は厚くて硬く変化していき、逆に室内犬や舗装された道ばかり歩く犬の肉球は柔らかいです。
冬はこまめな肉球ケアを
人が乾燥によってあかぎれになりやすくなるのと同様に、犬の肉球も「ひびわれ」「あかぎれ」になりやすいです。外出で濡れて汚れた肉球は、ぬるま湯で洗うか丁寧にタオルでふき取って保湿クリームを塗り、あかぎれ・ひびわれを予防しましょう。
特に雪遊びなどをした後には、耳・しっぽ・肉球が「しもやけ」になりやすいので、遊んだ後はドライヤーなどを使って温めて乾かしてください。
さらに、冬は道路に凍結防止のために散布された薬剤や塩で、肉球を痛めてしまうこともあります。洗い流そうと石鹸などを使うと、洗い過ぎて皮膚が荒れることもあります。また、洗った後のすすぎや乾燥が十分でないと、湿疹になったりするので、乾いた布で水分をふき取り、たっぷり保湿クリームでケアしてくだいね。
ちなみに外出から帰宅したら、肉球だけでなく、タオルなどでしっかり全身を拭いてあげましょう。雪や雨の日でなくても、冬は冷たい北風や埃で、被毛は汚れています。
肉球がひび割れてきて痛そうな場合には、靴を履かせてあげると歩きやすくなります。過保護と思われるかもしれませんが、私たち人も、かかとがひびわれた状態では痛くて歩くのも辛いですよね。
ただし、先に記述したように、犬は本来、肉球から多くの情報を収集しています。靴を履かせることにより、危険を回避する本能が衰えないともいえません。靴を履かせるのは症状が酷い時の対応策にして、普段からケアを続けましょう。
冬に多い犬や猫の泌尿器系疾患について
日々冷え込みが厳しくなってくると人もペットも体調管理の面で心配が増えますね。
今回はこれからの季節に多い、泌尿器系疾患についてお話しします。
特に旅行先では、普段と異なる環境で排泄しなくてはいけないことがストレスとなり、下部尿路疾患のリスクが増大します。
なぜ冬に多いのか?
秋から冬にかけて脂肪を蓄えようとする動物の本能で、
・いつも以上に食べて太ってしまう。
・寒いので運動量が減り、喉があまり渇かず水分摂取が減る。
・水分摂取が減ったことで、尿意を感じにくくトイレも面倒がちで行かなくなる。
などの生活習慣が原因で、尿路に結晶ができやすくなります。
水をたくさん飲んで、活動・運動をすれば、結晶は結石になる前に尿と一緒に排出されますが、動かない・水を飲まないとなると、尿が長く体内に留まり、下部尿路疾患になる恐れがあります。
下部尿路疾患とは?
下部尿路疾患とは、膀胱炎・尿道閉塞・尿路感染による血尿などのさまざまな泌尿器系疾患の総称です。
なかでも、泌尿器に結石ができる病気を総称して「尿石症」といいます。結石ができてもいつも明らかな症状が表れるわけではなく徐々に進行し、動物病院に来たときには重症化している場合があります。
通常、尿石症は慢性病ですから、克服するまでに長い時間がかかります。
結石ができやすいのは「膀胱」と「尿道」で、それぞれに結石ができた状態を「膀胱結石」「尿道結石」といいます。
一般的に結石はオスに多く、尿道が短いメスは膀胱炎にかかりやすいです。
オスはメスよりも尿道が細く長いため尿道閉塞を起こしやすいので、気をつける必要があります。
チェックするポイント
ペットが、何度もトイレに行ったり、トイレに入ってなかなか出てこなかったり、またトイレで唸っていたりするようならば、便またはおしっこが上手く出ていないと考えられます。
尿が丸一日出ないことで尿毒症や腎炎になり、放っておくと命に関わることもあります。
冬は特にトイレの様子に気を配ってあげて、出たおしっこを観察し色が違うなど普段と様子が違うと感じたら急いで動物病院へ!
ペットの、季節ごとにかかりやすい病気を知ることで、予防や早めの対策が取れますね。