北海道のほぼ真ん中に位置する旭川は、観光や交通の要所としてとても栄えた都市です。近年では旭山動物園がとても人気ですが、酒蔵やアイヌ文化が学べる施設など、文化的側面でも注目すべきスポットがたくさんあります。旭川に行くならぜひおさえておくべき観光スポットをご紹介します。
目次
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行動展示で業界に革命を起こした「旭川市旭山動物園」
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農家が造り上げた北海道ガーデン「上野ファーム」
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戦争の記憶と美しいアーチが共存する「旭橋」
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アイヌ語で「神様の住処」を意味する「神居古潭」
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ひかりと愛といのちの作家・三浦綾子の人生を展示する「三浦綾子記念文学館」
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彫刻と大道芸で賑わう歩行者天国「平和通買物公園」
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浮世絵にも描かれた老舗酒蔵の資料舘「男山酒造り資料舘」
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京都嵐山の如き眺望を讃えられた「嵐山展望台」
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アイヌ民族の歴史と文化を深く学びたいならここ「旭川市博物館」
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ラーメン激戦区・旭川が誇るラーメンの殿堂「あさひかわラーメン村」
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旭川における繁華街発祥の地「5・7小路 ふらりーと」
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目指せ宇宙飛行士!NASA式の訓練を体験できる「旭川市科学館サイパル」
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蔵元限定の生酒を楽しめる旭川最古の老舗酒蔵「髙砂明治酒蔵(直売店)」
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開拓期の熱量を現代に伝える上川倉庫群の新しいカタチ「蔵囲夢」
旭川市旭山動物園
行動展示で業界に革命を起こした「旭川市旭山動物園」
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動物園・水族館
旭山動物園は日本最北に位置する動物園です。厳しい雪国にありながら、人気は国内トップクラス。その秘密は動物が野生環境で行う動きを自然に引き出す「行動展示」にあります。たとえば「あざらし館」では「マリンウェイ」と呼ばれる円柱水槽を用いて、天井の水槽と床下の水槽を連結しています。これはゴマフアザラシが得意とする垂直方向の動きを引き出す工夫で、上下に俊敏に泳ぎ回るアザラシの姿を全方位から観察できます。また、雪が積もるとペンギンの散歩が行われます。これは野生化のペンギンが陸からエサをとりに海まで歩くという習性を活かしたものだそうです。
上野ファーム
農家が造り上げた北海道ガーデン「上野ファーム」
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フォトジェニック
上野ファームは北海道ガーデン街道にあるガーデンのひとつです。元々は農家としてお米の個人販売を行っていたそうですが、お客様に美しい風景を見せたいという思いから花を植えるようになり、現在の形になったそうです。北海道の気候にあった植物で造られた庭は「北海道ガーデン」と呼ばれ、訪れる人の目を楽しませています。英国風デザインを取り入れている庭もあり、シンメトリーに花を植えた「ミラーボーダー」は人気の場所となっています。また、見どころは色鮮やかな花ばかりではありません。「白樺の小道」には美しい白色の木肌が広がっています。ファーム内には,北海道の開拓にも関わった屯田兵が訓練を行った射的山があり、頂上からは美しい田園風景を楽しめます。
旭橋
戦争の記憶と美しいアーチが共存する「旭橋」
旭川市には日本三大河川に数えられる石狩川が流れています。旭橋は石狩川に架けられた橋で、当初は土橋でした。しかし、軍事的要所にあったことから、昭和7年に鉄橋へと生まれ変わります。そして、橋を通って多くの軍人が出征していきました。こうした戦争の歴史を持つ橋ですが、竣工当時の最新技術で造られたアーチ構造は美しく、現在では北海道三大名橋に名を連ねています。旭川の象徴として地元民からも愛されており、旭川八景、北海道遺産にも選定されました。旭川夏まつりの時期には放水とライトアップが行われ、普段とは違った姿を見せてくれます。また、旭橋近辺はリベライン旭川パークとして整備され、市民の憩いの場となっています。
神居古潭
アイヌ語で「神様の住処」を意味する「神居古潭」
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自然
神居古潭(かむいこたん)は旭川市の西部に位置する景勝地で、旭川八景に選ばれています。風光明媚で、春には桜、秋には紅葉を楽しむことができます。石狩川の両岸には急流が生んだとされる奇岩が並んでおり、パワースポットとしても有名です。特にアイヌ民族にとっては神聖な土地で、魔神ニッネカムイと英雄神サマイクルの伝説が語り継がれています。奇岩にはサマイクルの付けた刀傷とされる箇所も存在します。ちなみに、神居古潭駅跡には蒸気機関車が3両保存されており、鉄道ファンが訪れる地でもあります。
三浦綾子記念文学館
ひかりと愛といのちの作家・三浦綾子の人生を展示する「三浦綾子記念文学館」
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美術館・博物館
代表作『氷点』で知られる作家・三浦綾子は2022年4月25日に生誕100年を迎えます。作家になるまでの彼女の波乱に満ちた生涯をご存じでしょうか。肺結核発症、入水自殺の失敗、脊椎カリエスの併発。キリスト教を伝えてくれた恋人の病死。その後、夫・三浦光世と結婚するまで、13年間の病床生活を余儀なくされました。結婚後、作家になってからも様々な病と闘い続け、『塩狩峠』以降の作品は光世の口述筆記で創作活動を続けました。1998年6月13日に開館した三浦綾子記念文学館は、全国の三浦綾子ファンの方々の思いが集結して建てられた民設民営の文学館です。展示パネルや映像、言葉から、ひかりと愛といのちを感じることができます。
平和通買物公園
彫刻と大道芸で賑わう歩行者天国「平和通買物公園」
旭川駅前より北へまっすぐ延びる平和通買物公園は1972年6月1日に開設された日本で初めての歩行者専用道路として、当時注目を集めました。道幅は約20mで、8条本通まで約1kmに渡って続いています。沿道には商店街として様々な店が建ち並んでいるのはもちろん、旭川名物である野外彫刻が数多く設置されているのも特徴です。7条緑道にある「開拓のイメージ」など、約20m超えの巨大な作品も存在します。また、大道芸のメッカでもあります。毎年6月には買物公園の誕生祭として「買物公園まつり・大道芸フェスティバル」が開催され、多くのパフォーマーが自慢の芸を披露してくれます。大道芸の他にも様々なイベントが行われるのも通例なので、公式ホームページでチェックしてみましょう。
男山酒造り資料舘
浮世絵にも描かれた老舗酒蔵の資料舘「男山酒造り資料舘」
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美術館・博物館
男山は大雪山の伏流水を源とする辛口淡麗な地酒です。名称は男山八幡宮に由来しています。その歴史は江戸時代まで遡り、浮世絵に描かれるほどの人気だったそうです。1977年には「男山 純米大吟醸」が日本酒として初めて、モンドセレクション金賞を受賞しています。男山酒造り資料館には男山に関する資料が展示されており、喜多川歌麿の「名取酒六家選」、歌川国芳の「誠忠義臣名々鏡」などの浮世絵も含まれています。酒器や道具類も展示されており、VTRを通して日本酒の製造工程を学ぶこともできます。売店では男山の試飲も可能です。また、毎年2月に行われる酒蔵開放イベントでは、できたての酒や甘酒が振る舞われます。
嵐山展望台
京都嵐山の如き眺望を讃えられた「嵐山展望台」
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絶景
嵐山は旭川市の西にある標高253mの山です。アイヌ民族は「我ら、祈る、山」という意味のアイヌ語でチノミシリと呼び、聖地として崇めていました。現在はビュースポットとして知られており、山頂の展望台からは旭川市とその先に広がる大雪山連邦を眺望することができます。この絶景は「嵐山と嵐山からの眺望」として、旭川八景に選ばれたほどです。明治期の陸軍将校・小沢武雄も山頂から見える景色の美しさを、京都・嵐山から見える景色に匹敵すると讃えたそうです。小沢の意見が現在のチノミシリの名前を決定づけることになったと考えるのが自然ですが、真相はわかりません。開拓使が京都・嵐山に似ているとして名付けたとの説もあります。
旭川市博物館
アイヌ民族の歴史と文化を深く学びたいならここ「旭川市博物館」
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美術館・博物館
旭川市博物館は「アイヌの歴史と文化に出会う」をテーマとする総合博物館です。北北海道の歴史や文化、自然にかかわる様々な資料が展示されています。常設展示室の1階は「先住の民アイヌの歴史と文化」を、地下では「厳寒を生きぬく動植物と人」を紹介。また、嵐山公園には旭川市博物館の分館であるアイヌ文化の森 伝承のコタンがあり、ここにはアイヌ民族の伝統的な住居「チセ」、食料庫「プー」や祭壇が復元展示されているので、旭川市博物館と合わせて訪れることで、アイヌ文化への理解を深める助けとなるはずです。
あさひかわラーメン村
ラーメン激戦区・旭川が誇るラーメンの殿堂「あさひかわラーメン村」
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グルメ
あさひかわラーメン村はラーメン専門のフードテーマパークです。ショッピングセンター「パワーズ」の敷地内に存在し、外壁には旭山動物園で見られる動物が描かれています。「青葉」「いってつ庵」「いし田」「天金」「山頭火」「さいじょう」「平和」「梅光軒」の8店舗から選ぶことができるので、きっとお気に入りのラーメンと出会えるはず。また、併設のラーメン神社にお参りすると縁結びのご利益が得られるとか。休憩所にはラーメンや割り箸をモチーフとしたベンチがあり、記念撮影にもぴったり。ちなみに、旭川ラーメンはラードの浮いたスープ、水分の少ない縮れ麺が特徴。王道を征くべきか、変り種を探すべきか迷ってしまうところです。
5・7小路 ふらりーと
旭川における繁華街発祥の地「5・7小路 ふらりーと」
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グルメ
ふらりーとは旭川市の5条通7丁目に存在する横丁です。1920年頃に中央市場として成立し、当時は鮮魚店や青果店で賑わっていました。しかし、1939年に周辺一帯が焼失。戦後には従来の店舗が徐々に姿を消し、お酒やラーメンを提供する飲食店が主役となりました。時は流れ2004年、公募によって現在の名称へと改称します。そして、いつしか昭和ムード漂う飲み屋街として人気を博すようになりました。おすすめは老舗の焼き鳥店「焼鳥専門ぎんねこ」。創業から70年以上も継ぎ足している秘伝のタレがどんな味なのか、ぜひお店に行って頼んでみてください。
旭川市科学館サイパル
目指せ宇宙飛行士!NASA式の訓練を体験できる「旭川市科学館サイパル」
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美術館・博物館
旭川市科学館サイパルは「地球」、「宇宙」、「北国」の3つのコーナーからなる常設展示を主軸にした体験型の科学館です。北国コーナーは北海道の自然がテーマのエリアで、マイナス30度に設定された低温実験室などがあります。地球コーナーは物理現象や人体の仕組みに迫るエリアで、衝撃測定装置「ボディーアタック」などが用意されています。宇宙コーナーは重力や星の動きがテーマです。NASAの宇宙飛行士訓練装置をモデルにした宇宙ゴマが存在し、無重力状態を擬似体験することができます。また、小天文台には口径20cmの屈折望遠鏡、大天文台には口径65cmのカセグレン式反射望遠鏡が備え付けてあり、昼間でも一等星を観察することができるほか、1階のプラネタリウムでは毎日季節の星空解説を見ることができます。
髙砂明治酒蔵
蔵元限定の生酒を楽しめる旭川最古の老舗酒蔵「髙砂明治酒蔵(直売店)」
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グルメ
髙砂明治酒蔵は「国士無双」で知られる髙砂酒造の旧製造工場です。明治42年に竣工し、製造から販売までの全行程が行われていました。昭和4年には現製造工場に作業が移行。現在は直売店として機能しており、創業当時の酒器や書物を集めた資料館も設けられています。店内には「酒蔵一番しぼり」などの蔵元限定生酒も用意されているほか、試飲コーナーでは蔵元お勧めのお酒を飲み比べできます。
また、麹甘酒や甘酒アイス、酒粕を使った商品なども豊富に揃えているので、お酒が苦手でも楽しめます。冬季は停止していますが、髙砂酒造の酒造りに使用されている仕込水を味わうこともできます。建物自体も創業当時の姿を残した伝統的な木造建築として高く評価されており、平成16年には市の景観賞を受賞しています。
蔵囲夢
開拓期の熱量を現代に伝える上川倉庫群の新しいカタチ「蔵囲夢」
上川倉庫群は120年の歴史を持つ、国の登録有形文化財です。煉瓦造り倉庫6棟と洋風の木造事務所棟で成り立っています。開拓の物流拠点として発展し、最盛期には約2,000坪の敷地に21棟もの倉庫が存在しました。平成8年から改装が始まり、現在では複合施設・蔵囲夢として町興しに役立てられています。現在はプロアマ問わず幅広い作品が展示されている「デザインギャラリー」、旭川家具や小物を販売する「INTERNI」、多目的の「リハーサルホール」などがあり、レストラン「大雪地ビール館」では現地の食文化を堪能できるほか、飲み比べも楽しめます。
旭川には旭山動物園やアイヌ文化が学べる施設以外にも、家族で訪れたい観光スポットがたくさんあります。気になった旭川の観光スポットに、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。
※2020年12月1日時点の情報です。
※最新情報は各施設の公式サイトをご確認下さい。