知勇兼備の戦国大名・伊達政宗の本拠地である宮城県。仙台藩が置かれてからも伊達家が藩政を担い、その影響で伊達家ゆかりの遺構が点在しています。また、蔵王の山々、阿武隈川の狭窄部など、自然豊かな景勝地としても有名。特に松島は宮島、天橋立と並ぶ本邦でも指折りの名勝として知られています。本記事では仙台市を中心に宮城県のおすすめ観光スポットを紹介します。
目次
-
冬には光の並木道へと変貌する「定禅寺通」(仙台市)
-
水音が轟き、風が吹き荒ぶ「秋保大滝」(仙台市)
-
仙台藩62万石の威光を感じさせる豪華絢爛な御霊屋「瑞鳳殿」(仙台市)
-
俳聖もその絶景に感動!日本屈指の景勝地「松島」(松島町)
-
気象によって色が変化する火口湖「御釜」(蔵王)
-
視界のほとんどを紅葉が覆い尽くす大峡谷「鳴子峡」(大崎市)
-
湯めぐりが楽しめる奥州三名湯のひとつ「鳴子温泉」(大崎市)
-
東北最大級!花が織りなす虹色の絨毯が一面に広がる「やくらいガーデン」(加美町)
-
蔵王連峰の麓に広がり四季折々の草花を楽しめる「国営みちのく杜の湖畔公園」(川崎町)
-
伊達政宗の懐刀・片倉小十郎が居城とした「白石城」(白石市)
-
平家落人の末裔が開基した「定義如来 西方寺」(仙台市)
-
宮城県民の8割に水を供する、長閑で自然豊かな水守の郷「七ヶ宿町」(七ヶ宿町)
-
四季折々の景色を舟下りで楽しめる「阿武隈川」(福島県~宮城県)
-
お子さんがいるご家族の山登りにも最適!仙台市を見守る美しい火山「泉ケ岳」(仙台市)
-
伊達政宗が建てた松島のシンボル「五大堂」(松島町)
定禅寺通(仙台市)
冬には光の並木道へと変貌する「定禅寺通」
「日本の道100選」にも選ばれた定禅寺通。名称は1873年に廃寺になった定禅寺に由来しています。戦後の復興計画に基づいて整備され、1958年には道沿いにケヤキの植樹が行われました。このケヤキは現在でも通りのシンボルとして残っています。勾当台公園から西公園までの区間の見どころは、約700mに渡って続くケヤキ並木。この区間には中央分離帯に遊歩道が設けられ、ベンチも用意されていることから、市民の憩いの場としても人気です。12月の恒例イベント「SENDAI光のページェント」の時期には160本以上のケヤキがイルミネーションを纏い、光の並木道へと変貌します。
秋保大滝(仙台市)
水音が轟き、風が吹き荒ぶ「秋保大滝」
-
自然
秋保大滝は名取川上流に位置する落差約55m、幅約6mの直瀑。国の名勝で「日本の滝百選」にも選ばれています。また、華厳の滝、那智の滝と共に日本三名瀑に推す声も数多あるほど。秋には豪快な滝と紅葉のコントラストが楽しめます。冬には周囲が雪に覆われて雰囲気が一変し、その様は水墨画のような詫び寂びがあると評判です。西光寺(秋保大滝不動尊)裏手の滝見台を利用すれば、全景を見下ろすことが可能。滝が生みだす風も感じられて、迫力満点です。滝壺へ降りることもできますが、しぶきを浴びるのでタオルの準備は必須。ヒールやサンダルでの来訪は避けましょう。ちなみに、西光寺には日本一の大きさとも言われる金銅不動明王像があるので、あわせての観覧がおすすめです。
瑞鳳殿(仙台市)
仙台藩62万石の威光を感じさせる豪華絢爛な御霊屋「瑞鳳殿」
-
神社仏閣
瑞鳳殿は伊達政宗の霊廟です。国宝でしたが、空襲により焼失し、1979年に再建されました。参道は樹齢約400年の杉林に挟まれ、荘厳な雰囲気に圧倒されます。仙台藩の石高を表したといわれている62段の階段を上ると涅槃門(ねはんもん)がそびえ、その先には本殿を始めとする絢爛な建築物があります。本殿は黒と金を基調としながらも随所に色鮮やかな古代中国の瑞獣が彫られ、屋根を支える斗栱(ときょう)に至るまで色彩豊か。拝殿は再建の際様式を変えましたが、珊瑚と真珠を用いた扁額など、戦災前と同じ素材で再現された部分もあるので見逃せません。ちなみに、本殿の中には政宗公の御木像があります。御開帳は政宗公の命日やお盆など限られた時期のみなので、事前チェックを忘れずに。
松島(松島町)
俳聖もその絶景に感動!日本屈指の景勝地「松島」
-
絶景
松島は日本三景に数えられるほどの景勝地。国宝・瑞巌寺を筆頭に歴史的な建造物も多いのですが、景色を楽しみたいなら“松島四大観”巡りがおすすめ。これは江戸期の儒学者・舟山萬年が選んだ絶景スポットで、壮観・大高森、麗観・富山、幽観・扇谷、偉観・多聞山の4箇所をいいます。特に扇谷は入江の形状が扇子に見える名所で、扇の要に見立てられた島が「要島」と呼ばれている点もユニークです。展望所に向かう道すがら、達磨大師の坐像も観覧できます。ちなみに「松島や ああ松島や 松島や」は松尾芭蕉の作品ではありません。芭蕉も松島を訪れましたが、あまりの美景に句を詠めなかったとか。
御釜(蔵王)
気象によって色が変化する火口湖「御釜」
-
自然
御釜は蔵王連峰の五色岳・刈田岳・熊野岳の3峰に抱かれた円型の火口湖。条件によって沼の色が青緑色や瑠璃色に変化するのが特徴で、五色湖とも呼ばれています。変色は湖に溶け込んだ温泉成分に由来するものですが、強酸性なので入浴には向かず、生物も棲んでいません。最も手軽な観覧ポイントは蔵王刈田駐車場から徒歩約3分の御釜展望台。バリアフリーなので、どなたでも眺望を楽しめます。ただし、霧で景色が見えない場合があるので、事前に蔵王町公式HPのウェブカメラで確認しておきましょう。運悪く霧が出てきてしまった場合は駐車場のレストハウスで名物の釜カツ丼を食べましょう。山の天気は変わりやすいので、昼食を楽しんでいるうちに晴れ間が見えるかもしれません。なお、アクセスに必須の蔵王エコーラインは冬期には閉鎖されてしまうのでご注意ください。
鳴子峡(大崎市)
視界のほとんどを紅葉が覆い尽くす大峡谷「鳴子峡」
-
絶景
鳴子峡は大谷川の侵食により形成されたV字峡谷。100m級の断崖絶壁が約2.5kmも続いています。東北を代表する紅葉の名所としても有名で、荒々しい岩壁にブナ、ナラ、楓などの赤や黄色の落葉樹、松を始めとする緑色の常緑樹が生育し、まるで岩壁のキャンバスに暖色の絵の具を塗り付けたような光景が広がっています。特に鳴子峡に架かる大深沢橋からの景色は圧巻。ここの歩道はJR陸羽東線の線路を眺めるのに最適です。トンネルから紅葉の只中に突如として現れる列車の姿を楽しむことができるので列車好きの方にはおすすめのスポットです。また、大深沢橋の雄姿を眺めたい場合は鳴子峡レストハウスの駐車場にある見晴台の利用がおすすめ。大深沢遊歩道に繰り出して紅葉を間近に見るのも一興です。
鳴子温泉(大崎市)
湯めぐりが楽しめる奥州三名湯のひとつ「鳴子温泉」
-
温泉
江合川の上流、五つの温泉地から成り立っている鳴子温泉郷。なかでも鳴子温泉は規模が大きく、奥州三名湯に数えられています。JR鳴子温泉駅で降りると、そこは大小20を超える温泉施設・公衆浴場が建ち並ぶ温泉街。特に有名なのが「滝の湯」と「鳴子・早稲田桟敷湯」です。滝の湯は鳴子温泉神社の御神湯で、青森ヒバの浴槽が特徴。殺菌効果のある硫黄泉は肌を滑らかにします。早稲田桟敷湯は戦後に早稲田大学の学生が掘り当てた共同浴場です。浴場らしからぬ前衛的なデザインが目にも楽しい施設です。宿泊施設にある温泉も楽しみたい場合は、購入すると7つの地域(鳴子・東鳴子・川渡・中山平・鬼首・赤倉・瀬見)で共通で利用できる湯めぐりチケット(1枚1,300~おみやげこけし木札付1,800円)が便利です。シールは6枚付。施設によりシールの使用枚数が違います(1~4枚)。また、協賛店でサービスを受けられる下駄手形も手に入れたいところ。どちらも駅内で購入可能です。
やくらいガーデン(加美町)
東北最大級!花が織りなす虹色の絨毯が一面に広がる「やくらいガーデン」
-
フォトジェニック
やくらいガーデンは400種類もの植物を栽培する観光施設です。薬莱山の麓にあり、総面積は約15ヘクタール。園内にはハーブガーデン、コニファーガーデンなど8エリアが存在し、季節に応じた植物を観覧できます。たとえば、初夏にはローズガーデンのバラが見頃となり、芳香に包まれた庭園散歩を楽しむことができます。また、夏の盛りには蒼天の下、20万本の向日葵が背を伸ばす光景を見ることができます。最大の見所は、ふるるの丘。秋になると規則的に配置されたサルビア、ベゴニア、マリーゴールドなどの花が最盛期を迎え、大地に虹を降ろしたかのような景色が一面に広がります。敷地内の丘陵には三角屋根の白いチャペルがあり、写真映えも期待できます。
国営みちのく杜の湖畔公園(川崎町)
蔵王連峰の麓に広がり四季折々の草花を楽しめる「国営みちのく杜の湖畔公園」
-
公園
国営みちのく杜の湖畔公園は釜房湖畔に広がる公園です。湖を差し引いても300ヘクタール近い敷地を有しています。園内は3つの地区に区分けされており、それぞれ特色があります。南地区は文化と水がテーマ。区内「ふるさと村」には東北6県の代表的な古民家が結集しているので、地域差に気付けるかもしれません。また、7000㎡の大花壇では四季折々の草花や水路・噴水などが楽しめます。北地区は健康と緑がテーマ。キャンプ場・自然共生園・風の草原などがあり、蔵王連峰を背景に広大な草原でいろいろな遊びやスポーツ、自然観察などが楽しめます。里山地区は森と環境をテーマにした自然豊かな区域です。自然観察、ハイキング、トレッキングが楽しめます。
白石城(白石市)
伊達政宗の懐刀・片倉小十郎が居城とした「白石城」
-
城
仙台藩、南の要衝である白石城は、後三年の役で活躍した刈田経元が建てたと伝わっています。この地は戦国期に領主が次々と変わり、関ヶ原の戦いの直後に伊達領となりました。その後は明治維新まで片倉氏が城主を務め、白石城は六丸・五曲輪を備えるまでに強化されました。しかし、廃城令により1874年に解体。現在の白石城は1995年に復元されたものです。天守に相当する三階櫓は戦後の木造復元天守として最大級の高さと広さがあり、狭間などの防衛設備も整っています。また、三階櫓の石垣は自然石を用いた野面積みが忠実に再現されています。
定義如来 西方寺(仙台市)
平家落人の末裔が開基した「定義如来 西方寺」
-
神社仏閣
浄土宗「定義如来 西方寺」は平家の末裔が1706年に開基したと伝わっている寺院。平清盛の嫡男、平重盛が家臣・平貞能に託した阿弥陀如来の掛け軸を本尊としています。落ち延びた貞能は定義と改名し、寺院も「定義さん」と親しまれるようになりました。本尊は秘仏なので御開帳日以外は観覧できませんが、大本堂での参拝は可能です。ここには25体の菩薩が配された金色の大天蓋があるので、仰ぎ見るのを忘れずに。また、6歳で崩御した安徳天皇の遺品が埋まっている「天皇塚」も見逃せません。ここには別々の欅がひとつに繋がった「連理の欅」が鎮座しており、縁結びに御利益があるとされています。現在は根を残すのみですが、周囲には「連理の欅」の子や孫が育っているため、子宝をもたらすとも言われています。
七ヶ宿町(七ヶ宿町)
宮城県民の8割に水を供する、長閑で自然豊かな水守の郷「七ヶ宿町」
七ヶ宿町は宮城県南西部にある山間の町。名称は江戸時代に七つの宿場を有していたことに由来します。往時は参覲交代で賑わいましたが、現在では水守の郷として、県民にとっては重要な土地となっています。水源が豊かで、七ヶ宿ダムが設置されており、ここで賄っている飲料水は183万人分。これは宮城県民のおよそ8割に相当します。ダム内は平日のみ見学可能で、監査廊や操作室を見学することができます。
阿武隈川(福島県~宮城県)
四季折々の景色を舟下りで楽しめる「阿武隈川」
-
自然
阿武隈川は流路延長約239km、流域面積約5,390㎢の河川。福島県の旭岳に始まり、宮城県を通って太平洋に流れています。平地と狭窄部が交互に現れるのが特徴で、阿武隈峡と阿武隈渓谷は景勝地として有名です。阿武隈渓谷は宮城県伊具郡丸森町の「阿武隈ライン舟下り」を利用することで、気軽に景観を堪能できます。周遊域にある「廻石」には弘法大師が杖で突いて水を噴出させた伝説があり、現在では「弘法の噴水」として知られています。こういった見どころの解説を受けられるのも、舟下りの利点です。春には菜の花、夏には紫陽花、秋には紅葉が見頃ですが、あえて冬に訪れるのも一興。「こたつ舟」の運航が始まり、ぬくぬく暖を取りつつ、水墨画の如き景色を楽しめることでしょう。
泉ケ岳(仙台市)
お子さんがいるご家族の山登りにも最適!仙台市を見守る美しい火山「泉ケ岳」
-
自然
泉ケ岳は船形連峰を構成する山の一つ。標高約1,172mの錐状火山で、稜線の美しさに定評があります。仙台市内からでも山容を眺めることが可能で、稜線からの眺望も抜群。市内は言うまでもなく、太平洋や蔵王の山々も見渡せます。登山道は4つあり、山頂まで約2時間ほど。初心者には「水神コース」がおすすめです。序盤は緩やかでウォーミングアップになりますし、中盤からは少し傾斜が強くなるので達成感も味わえるでしょう。小学生の遠足コースとしても選ばれるくらいの難易度なので、家族旅行にも最適です。少し難易度が上がりますが、眺望を堪能したいなら「滑降コース」、「かもしかコース」へどうぞ。胎内くぐりが楽しめる「表コース」は道が険しいので、体力に自信がある方は挑戦してみるのもおすすめです。
五大堂(松島町)
伊達政宗が建てた松島のシンボル「五大堂」
-
神社仏閣
五大堂は瑞巌寺の飛地境内にある仏堂で、坂上田村麻呂が建てた毘沙門堂をルーツとしています。現在のお堂は1604年に伊達政宗が建てたもので、国の重要文化財に指定されています。見どころは屋根の蟇股(かえるまた)にある十二支の透かし彫り。四面に彫られているので、ぐるりと巡って意匠を楽しんでください。五大明王像も重要文化財に指定されていますが、御開帳は33年に1度きり。次の御開帳は2039年に予定されています。ちなみに、五大堂がある小島へ渡るには「透かし橋」を通る必要があります。橋板の間隔が広く海面が見えるのでスリル満点です。この透かし構造は江戸時代には既に存在していたという記録があり、参詣の前に気を引き締めてもらうための工夫だと考えられています。
山登りやハイキングなどのアウトドア派から歴史好きのインドア派まで、楽しめる幅の広さが宮城県の魅力。今回は紹介しきれませんでしたが、周辺には本格的な登山が楽しめるコース、パラグライダーが楽しめるスキー場、西洋の意匠を取り入れた霊廟などの見ごたえある観光スポットも多いです。旅に慣れた方もぜひ、新たな宮城旅行を検討してみてください。
※2021年3月1日時点の情報です。
※最新情報は各施設の公式サイトをご確認下さい。